スポーツ科学でみる

飛距離とドーピング。力とダイエット。


12月14日今季ナ・リーグMVP、ミルウォーキー・ブリュワーズのライアン・ブラウン外野手のドーピング疑惑が出て来ました。

ドーピングは薬の種類や組み合わせによって、持久力や筋力を増やし、脂肪を減らす効果が期待できるので、使っている選手も国内外問わずいるとか。いないとか。

ドーピングにはステロイド、成長ホルモン、血液や噂では遺伝子を操作する方法まであるらしいのですが、普通に使っていれば当然ドーピング検査で見つかるので、他の薬を同時使う事で検査で見つかり辛くする「マスキング」をします。当然こちらの併せた方の薬物も見つかれば処分の対象。
よく使われるのが毛生え薬でおなじみのフィナ(プロペシア)。日本でも引っかかった選手が過去に数人います。
(不思議なことに3日~2週間の競技参加停止などの軽い処分で済んでいますが...。普通の処分なら2年間競技参加できません。)

今回は短期間で大幅に筋力が向上する、筋肉増強剤の使用が疑われています。筋肉はタンパク質のかたまりで、どんなにトレーニングしても、通常は一定の期間は一定の範囲でしか増えません。ドーピングすると一定の範囲をこえ、短期間で大幅に筋肉がつき比例して筋力も向上します。
(筋肉増強剤の元祖と言える「ダイアナボル」という薬を6週間飲みベンチプレスが110kgから140Kgに上がった人を知っています。普通これ位上げるには1年位のトレーニングが必要です。)

日本はドーピング薬を個人が所持して使用するには合法。アメリカは持っているだけで違法、もちろん服用しても違法です。メジャーリーグの90年代のスーパースター、バリー・ボンズ元選手はドーピング薬の所持、使用に関しての偽証罪でつい先日保護観察処分になりました。日本ではドーピングすると、競技から追放されることはあっても、アメリカのように法廷にかけられることはありません。

そもそもバッターは飛距離を上げるためにドーピングします
打った球の飛距離はゴルフでも同じですが、ボールが当たる瞬間のヘッドスピードに比例します。

速く振る方法は簡単です。大きな力で軽い物を振る。
当り前のことなんですが、もう少し科学的に考えてみましょう。動かしていたものを、インパクトの瞬間、さらに加速するスピードのことは物理で加速度と言います。

ニュートンの運動の第2法則(質量×加速度=力)を分解して
力/質量=加速度
にしてみると、力が増えて質量が減れば、加速度が上がるのがわかります。

野球やゴルフの場合、質量はボールとバットに腕や体などを加えた重さ。
仮に50の力を持っているAさんが10の重り振ると加速度は
50/10=5

Aさんが力をキープしたままダイエットして、重さ5になったら
50/5=10
加速度は2倍になります。

Aさんが筋力をつけて100の力を出せるようになり、重さ10なら
100/10=10
こちらも加速度が2倍になります。

ボールをしっかり当てられる技術があれば、力を上げるか重さを下げれば加速度が上がり、ヘッドスピードが上がるので飛距離が伸びます。

力を上げるてっとり早い方法がウエイトトレーニング。だからスポーツ選手は競技の練習以外にも筋力を上げるためにウエイトトレーニングを
します。中には効果を充分に引きだすためにドーピングしてしまう選手もいるのが現実です。

重さを下げるには、道具を軽いものにするのも有効ですが、体を軽くすることも同じくらい有効です。距離が上がらないで悩んでいる太り気味の方
はダイエットをお勧めします。

ドーピングは問題だと思いますが、ウエイトトレーニングとダイエットは野球やゴルフに有効です。
コラムニスト:柴田 明

フィジカルトレーナー

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