スポーツ科学でみる

ランナーもトレーニングを始めた年!

2007年の東京マラソンからのランニングブームが今年も続き、マラソン人気もすっかり定着してきました。
2011年はレースの数も増え、完走する人も増え、記録に挑戦する人も増え、ケガする人も増えました。

走行距離とケガは比例することがわかっています
日本臨床スポーツ医学会が発表した、ランニングによる痛みが男性の40%、女性の65%に出るポイントが月間走行距離200 km(1)。
ケガをした人が増えているのは、真剣に練習しているランナーが増えた証拠でしょう。

ケガをしている人をさらに調べると男性の33.8%女性の60.5%は膝を痛めているのもわかっています(1)。
ランニングの衝撃に耐えられる膝かチェックする方法をご紹介しましょう。

片脚で30㎝の台から立ち上がる
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(2)から抜粋
普通の階段の高さが大体30㎝。図のように両肩の上に手を組んで、前に伸ばしている足を床につけずに立ち上がれたら、ランニングしても痛め辛い膝周りの筋力があると言えます。


月間走行距離200Kmを超える人は10cm台から片足で立ち上がれるかチェック
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(2)から抜粋
10cm台が見当たらなければ、片足スクワットができるか試してください。
両肩の上に手を置いて、片足立ちになります。浮かせている側の足は前に伸ばし、床にお尻がつくぎりぎりまでしゃがんで2秒止めてから立ち上がってください。


片足30cm台からの立ち上がりができればマラソンをしても壊れない最低限の膝。
膝が月間200kmを超える練習量に耐えられるかは、片足10cm台からの立ち上がりができるかで決まります。

ランナーに多い膝のケガは、膝の皿の裏が太ももの下側の骨とすれて痛む膝蓋大腿骨ストレス症候群、通称ランナー膝と言われる症状。膝の皿を安定させる太ももの前側の大腿四頭筋と言われる筋肉が弱く、膝の皿が横に動いてすれてしまうのが大きな原因です。
片足立ち上がりができなかった人は、腿の前を鍛えるフロントスクワットをしましょう

フロントスクワット

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©Everkinetic,2010 http://everkinetic.com/

・両肩の上に手を置きます(最初はバーベルなしで行ってください)
・4秒かけて腿が平行になるまで下がってください
・2秒かけて元の位置に戻りましょう
・20回を1分の休憩時間を挟んで3セット

中1日空けて、3ヶ月ほど続ければ片足立ちができるようになると思います。

加齢による筋力低下が原因の骨や関節の異常は女性では走っている人の方が多く、女性でも走らない人との間で痛める率は変わりません。(1)
走るだけでは膝周りの筋力はつかないということです。膝のケガは鍛えない限り、繰り返します。

マラソンは練習量を確保しなければタイムが出ませんが、練習量を増やすとケガしやすくなります。そこで一歩先行くランナーはより多くの練習に耐えられる体づくりを始めるようになりました。


参考文献:
(1)日本臨床スポーツ医学会:骨・関節のランニング障害に対しての提言,2005
   http://www.rinspo.jp/proposal_10-1.pdf
(2)山本利春、村永信吾:下肢筋力が簡便に推定可能な立ち上がり能力の評価,
   Sportsmedicine,NO.41:38-40,2002



コラムニスト:柴田 明

フィジカルトレーナー

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