スポーツ科学でみる

右肘手術で進化する松坂投手


昨年6月に利き腕、右肘のトミー・ジョン手術を受けた
松坂大輔投手。

手術から約10カ月経った4月2日の実戦練習で、
早くも球速94マイル(約151キロ)を記録。
順調に回復しているようです。
(4月16日日本経済新聞:松坂に整いつつある「逆襲の舞台」から一部引用)


●投球動作で肘の内側が伸ばされる
肘の内側の伸びた靭帯(内側側副靭帯:MCL)
を取り、他の靭帯を使って再建するのが、
ジョーブ博士考案のトミー・ジョン手術。

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市川 宣恭著「スポーツ指導者のためのスポーツ外傷・障害」(南江堂)から抜粋

ボールを速く投げるには、腕を後ろに大きく振る
必要がありますが、この動きは図の通り
肘の内側が強く引っ張られる動き。

何度も繰り返すことで、肘の内側を支えている靱帯が
耐え切れず、伸びたり切れることがあります。

強く投げる必要がある、ピッチャーと外野手が
特に痛めやすい部分です。


●肘のこんな痛みは要注意
・全力投球をしようとすると初球から肘が痛い
・肘が緩くて外れそうな感じがする
・肘内側を押すと痛い
・肘を伸ばすと痛い

初期の痛みなら1~3ヶ月肘を休めて、リハビリすれば
改善されることが多いのもこのケガの特徴。
肘に違和感があったら、MRI検査をしに、
スポーツ整形外科に行きましょう。


●手術で球速が上がる!?
痛みが改善しない場合は手術。
復帰に半年~1年かかりますが、安心してください。

トミー・ジョン手術からの完全復帰率は80%以上。
日本人では村田兆治投手や桑田真澄投手も手術し、
復帰しています。

更に復帰後、球速が2~3マイル(3~4Km)
速くなるケースも多いようです。
(USATODAY.com :  Tommy John surgery: Pitcher's best friend


●リハビリは体を作るチャンス
理由は靭帯を新しくしたから。
ではなく、1年かけてしっかりハビリしている間に、
体全体が強化され、球速が上がる、
と考えられています。

どの競技でもプロになってしまうと、試合が中心に
なるので、1年かけて体を作ることはできません。
理想の体がイメージできていても、作る時間が
ないのが現実。

トミー・ジョン手術で球速が上がる事実は、
リハビリ期間中に体作りができることを
表しています。

松坂投手が現時点で150km出したのは、
1年間積極的に体作りをしてきた証拠。
進化した復活を期待しましょう。


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コラムニスト:柴田 明

フィジカルトレーナー

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