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10日で5kg減らす方法


夏に向けてダイエット特集がテレビ・雑誌で目立ってきました。中には「○日間のダイエットで驚異の○kg減!」という夢のような企画もあります。
最近はごはん、パンなどの炭水化物(糖質)を極端に制限した方法がメディアで取り上げられていて、10日で5kg減らした例もあるようです。
【出典】Cleveland Clinic Journal of Medicine:Very-low-carbohydrate weight-loss diets revisited

糖質を制限すると
まず体の中に蓄えられている糖質(グリコーゲン)が減るので体内に維持できる水分の量が減ります。グリコーゲンは体内に水をキープするためのスポンジの役割もしているからです。
グリコーゲン蓄積量は肝臓でおよそ100g、筋肉で400gの計500g。グリコーゲン1gについてくる水の量は2g。全て枯渇して、グリコーゲンが500g減ると水分が1kg減るので、その分体重が落ちます。

2番目のプロセス
低炭水化物状態が続くと体脂肪からエネルギーを作り出します。この時できるのがケトン体。これでも水が抜けます。
ケトン体は腎臓でろ過されて、その時には塩分(ナトリウム)も同時に排出されるからです。ナトリウムにも水分をキープする役目があるので、減ればさらに体重が落ちます。

超低糖質で5kg減っても半分は水分
800kcalの低炭水化物ケトン産生性食事は10日で4.5kg減。
同じ800kcalの食事でも低炭水化物にしない食事だと2.8kg減。
差の1.7kgが2番目のプロセスでキープできなくなった水分量だと考えられます。

低炭水化物800kcalで減った体重は4.5kgでも、グリコーゲンが低下したことで水分をキープできなくなったのが1kg。ケトン体が排出される時のナトリウム喪失で水分がキープできなくなったのが1.7kg。体重が減った中の約50%計2.7kgが水が抜けた量です。

10日で5kg減らす方法
4.5kgから2.7kg引いた残り1.8kgは脂肪が燃焼されたのかもしれないので、低糖質ダイエットは脂肪を減らすのに有効だと言えるのかもしれません。
1日800kcalの低炭水化物食を10日間続けられれば誰でもこれ位なら減ると思います。が、生理学的な現象で炭水化物を食べ始めたら水が抜けた分の2.7kgはすぐに戻ります。

ダイエットが明けて急に体重が増えると心理的にも影響が出ます。体重が増えたのを目の当たりにした瞬間、嫌気がさして過食が止まらないからです。リバウンドすることも多いのが超低炭水化物ダイエットの特徴と言えるでしょう。
(短期間で痩せる企画で、低糖質・低カロリーで無理して体重を落とした芸能人のほとんどが体型をキープできないことからもわかります...)

アスリート向けダイエット
そもそも極端に炭水化物を制限して体重を落とす方法は、体重制限がある競技のアスリートが計量をクリアするために行ってきた方法。体には相当、負担がかかります。
私も体重制限がある大会に出る時、最終的にこのようなダイエットをしましたが、血圧が低下し、貧血になり、低体温にもなりました。モノ忘れも激しくなり、周囲の人が心配する位ボーっとしていたらしいです。

極端な低糖質ダイエットは体内のグリコーゲン減少による利尿作用で体重が凄く落ちます。が、体脂肪は大して減るわけではありません。リバウンドする可能性も高いです。キレイで健康な体をキープしたい人に私なら勧めない方法です。
コラムニスト:柴田 明

フィジカルトレーナー

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