観ずに死ねるか!~今週のシネマ選~

ケビン・コスナーがチャラい若僧役!西部劇復権映画に2012年大統領選を占う?


次期選挙で第45代大統領が誕生する大国アメリカ。
そんなアメリカも独立宣言はたったの236年前、
江戸時代が始まって180年近く経ってからなんですね。

な~んだ!と小さな島国でカラいばりしてもしょうもないですけど、
そりゃあどんな国にも若い頃はあるわけで、
当然、あのケビン・コスナーだって若い頃はあるわけです。

先週は、若いアメリカの時代を描く西部劇に、
30歳の若い駆け出しのケビン・コスナー(←しつこい^^;)が登場する
80年代の新感覚ウエスタン映画『シルバラード』が放映されました。

*  *  *  *  *

【観ずシネVol.12】

『シルバラード』(1985年/米/監督:ローレンス・カスダン)
★1/12(木) 13:00~15:15 NHK BSプレミアム

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日本では先頃、野田改造内閣が発足したばかり。
「消費増税」「社会保障」「超円高」「TTP」「震災復興」「エネルギー政策」etc.
今後の僕たちの生活を大きく左右する大きな節目を
この新しい舵取り達はどのように切り開いていくのでしょう?
そして、多額の借金を抱えた日本の将来はどのようになっていくのでしょう?
有権者の責任として、僕たちはどう考え、行動すべきなのでしょう?

...に、似合わない...。

のっけから映画コラムらしからぬ堅い話になっちゃってすみません...。
しかし、敬愛する故・談志師匠のモットー=「人生成り行き」じゃないですけれど
元来「出たとこ勝負」の僕のような人間ですら、真剣に新聞を読んだりする昨今。
大人が果たすべき責任を、柄にもなくひしひしと感じている次第です。

海の向こうのアメリカでは、歴史的な初の黒人大統領=オバマ氏の選出から時は流れ、
世界の重要国のトップが軒並み交代する2012年=スーパーイヤーの目玉中の目玉、
次期大統領選の候補選びが、いよいよ正念場を向かえようとしています。

アメリカの大統領選と言えば、
古くから保守=共和党と革新=民主党のつばぜり合い。
その前の各党候補者選びも独特で、僕などはもっと勉強しくちゃいけないんですが、
そこは映画コラムという事で何卒ご勘弁下さい。(←言い訳~^^;)

で、そんなアメリカの伝統的な時代劇といえば、もちろん西部劇なわけです。
僕の親父などは、やれジョン・フォードだ、やれジョン・ウェインだ、と
戦後の日本に力強い興奮を与えてくれた西部劇には思い入れが深いようですが、
さすがに僕くらいになると、そうもいかず。
もしかすると映画の中でも一番縁遠いジャンルかもしれません。

それは実は本国アメリカでも同様。
西部開拓民が先住民をやっつける古典的な西部劇は、
ネイティブ・アメリカンズに対する差別表現など
時代の流れにそぐわない部分も多くなり、衰退の一途を辿っているようです。

しかしながら、最盛期以降も、
ステレオタイプな「勧善懲悪」に対して批評的・客観的なスタンスをとることで、
西部劇独特の色気を活かしながらも斬新な傑作西部劇が、
たくさん作られてきました。

僕の好みで例を挙げると、

●独特のバイオレンス表現でアクション映画として今でも通じる、
サム・ペキンパー監督『ワイルド・バンチ』(1969年)

●素晴らしい群像劇と男優・女優の色気が炸裂する
セルジオ・レオーネ監督『ウエスタン』(1969年)

●<ネイティブ・アメリカンとの交流>を描く、正に逆説の西部劇、
ケビン・コスナー監督・主演のアカデミー賞作品『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(1990年)

●西部劇という枠組みの中で、その映画作家としての豪腕が横溢する
クリント・イーストウッド監督・主演『許されざる者』(1992年)

などは、本当に面白いお薦め作品です。

今回取り上げる『シルバラード』も、
それらと同じく<敢えて西部劇に挑戦する>1985年作品。
監督のローレンス・カスダンは、映画監督のみならず、
スピルバーグの頼れる片腕として『スター・ウォーズ』や『インディ・ジョーンズ』の
脚本も手掛けるハリウッドの才人の一人です。

そんなカスダン監督が描く西部劇。
期待に違わず、のっけからスリリングなシーンで観る者をぐいぐい惹きつけます。
物語は主人公が次第に仲間を増やしていく「七人の侍」方式で進んでいくのですが、
主人公役のスコット・グレンを筆頭に、
ケビン・クライン、ケビン・コスナー、ダニー・グローバーと
出てくる男達が、とにかくいい味を出しています。
(ケビン・コスナーなんて、今では想像つかないほどのチャラい若僧役を演じていて、
ちょっとした見物ですよ♪ 何せ実質的なスクリーンデビュー作ですから!)

カスダンの熟練した演出は、西部劇的な見せ場をふんだんに取り入れながらも
決して古臭くないモダンな西部劇に仕上げていて、
上に挙げたお薦め西部劇にもひけをとらない、立派な仕上がりになっています。
もちろん脚本もカスダン自身が書いていますので、そのシナリオの良さも
この映画の魅力に一役買っていると思います。

さて、この映画の主人公のうち、仲間の一人は黒人。
劇中でも彼が差別され、仲間がかばう場面が描かれていています。
先にも述べたように、西部劇と人種差別というのは
時代背景的にも切っては切れない関係にあるわけですが、
『シルバラード』における、黒人を仲間にする、という設定は、
アメリカにおける人種差別の撤廃の歴史ともリンクするのかもしれません。

話題はぐるっとひとまわりして、今年のアメリカ大統領選挙。
思うように成果が上がらなかったとされる初の黒人大統領=オバマ政権に対し
共和党←→民主党のかわりばんこの歴史の中で
共和党の誰が予備選で大統領候補に選ばれるのでしょう?
そして、一般当選によって決まる第45代アメリカ大統領は、果たして誰に?

数々の傑作西部劇が、スタイルの保守と革新の歴史だった事を考えると、
2012年=スーパーイヤーのアメリカ大統領の攻防戦の行方も、いつもに増して注目!
白人と黒人が仲間になって、強く誠実に生きていく西部劇『シルバラード』を観て、
そんな風にも思ったり。

そんなアメリカの事情もさることながら、話は更にアタマに戻っての野田内閣。
ホントにちゃんとやっていただかないと困るんですが...

まず消費税が上がっちゃうと、お小遣いが減っちゃうでしょう?
お小遣いが減っちゃうと、観られる映画の本数も減っちゃうでしょう?
...あ、そういうお父さんの懐事情じゃなくて、お国の懐事情でしたね、問題は。

でも!そういう時の映画鑑賞の強~い見方。それがTV放映なんですね~♪

などというオンエアナビらしい下げ?で、お後がよろしいようで。m(_ _)m

(おしまい)

*  *  *  *  *

【今週の"観ずに死ねるか!シネマ"】

『ALWAYS 続・三丁目の夕日』(2007年/日)
★1/20(金) 21:00~23:24 日本テレビ

懐かしい昭和の人情と風情が満載、最新作も話題の大ヒット・シリーズの第2編。
今改めて見直さなければいけない、忘れてはならない、
僕たち日本人が生きていくヒントも、涙と笑いの中にちらほらり。
まだまだ日本が死んじゃあいけない踏ん張りどころの今こそ必見の邦画です。
卒業式の「君が代」云々でどうのこうの議論する前に、
こういう映画をお茶の間で家族そろって観るのが先~♪
コラムニスト:助川 仁

ビクターエンタテインメント株式会社 編成管理チーム長 兼 KOKIAディレクター

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