日本橋人形町の老舗パン屋さんを取材
2015年06月18日
2011年11月の記事を再びピックアップ!
11/6のテレビ東京、「モヤモヤさまぁ~ず2」で、さまぁ~ずの二人が訪問した
日本橋人形町のパン屋「サンドウィッチパーラーまつむら」さん。
店主の松村実(みのる)さんと守夫(もりお)さん。
双子の兄弟を中心とする松村一家が紹介されました。
二人の気さくな人柄やパンに対する誠実さも画面から伝わってきました。
そこで、ここのパンはおいしいに違いないと思い、確かめてまいりました。

人形町には老舗のお店が数多く健在です。
親子丼で有名な「玉ひで」は江戸時代から続く料亭です。
また、お座敷洋食の「芳味亭」やコロッケがおいしい「小春軒」など
明治から昭和初期にかけて創業した洋食屋さんもあります。
今回紹介する「まつむら」さんも、そんな老舗のひとつです。
創業は大正10(1921)年ですので、人形町に店を構えて90年。
初代の梅吉さんから数えて、実さんが四代目となります。
ここで少し、梅吉さんにふれてみましょう。
梅吉さんはもともと、人形町から歩いてすぐの小伝馬町で
唐紙(からかみ)のうるし塗りの職人をしていたそうです。
唐紙とはふすま紙のことです。
大正時代には、大半の家が和風のつくりだったので、
ふすま張りが当たり前でした。
そんな時にパン屋へ転身です。
日本人の衣食住は洋風化が進みました。
ふすまのある住まいはめっきりすくなくなったと実感します。
その一方で、パンの需要が拡大してきたことは容易にうかがえます。
梅吉さんは唐紙職人からパン屋へ商売を変わりつつ、
日本人の生活様式の変化を身をもって乗り切ったと言えそうです。
梅吉さんの判断は大当たりだったといえるのではないでしょうか。
「梅吉さんには先見の明があったのではないでしょうか」
そう語るのは、兄弟とともに店を切り盛りする松村牧子さん。
名前からうかがえるように松村一家です。
前置きが長くなりました。かんじんのパンの味を紹介しなければなりません。
はじめに結論をいいましょう。期待に違わぬおいしいパンでした。
一番売れ筋のクリームパン(115円)に加えて
葡萄パン(115円)もしみじみと味わうことができました。
どちらも飽きのこない味なので、食事にもおやつにもぴったりではないでしょうか。

↑クリームパン(115円)
クリームパンについては、まずパン生地をおいしくいただきました。
一口かめば、しっとりとしたやわらかい食感が感じられます。
そして、かむにしたがい、ほどよいコシが味わえます。
また、クリームの味は甘すぎず、くどすぎず。
パン生地との相性は絶妙です。
看板メニューのサンドウィッチやカレーパンをはじめとする惣菜パンもおいしいのですが
葡萄パン(115円)にはちょっと感動しました。

↑葡萄パン(115円)
スーパーでは葡萄がばらばらに混ざった葡萄パンが売られていることが多いのですが
こちらの葡萄パンの断面は葡萄がうずを巻いています。
「葡萄をうず巻き模様になるように成形するのも手作業」(実さん)。
ひと手間の工夫に感心します。
お店のなかにはイートイン・スペースもあります。二十席程度の広さです。
東京証券取引所のある兜町に隣するということもあり、
お昼どきには、お店で購入したパンを食べるサラリーマンやOLさんでにぎやかです。
その後、夕方6時に閉店するまで、
ご近所さんの休憩スペースとして、ひとが途切れることは少ないようです。
そのような常連さんのひとりを示して、
「この人は朝に来て、夕方にも来て。1日に2回も来るのよ」と
牧子さんが説明してくれました。
このように多くの常連客に支えられて90年も続くのは、
下町のパン屋という親しみやすさや
ビジネス街にあるという立地のよさばかりではないと思います。
それは、手ごろな価格でおいしいパンという
商売の基本を踏み外していないからではないでしょうか。
そのような繁盛の背景に、人形町特有の下町気質があると私はみています。
下町といってもさまざまです。
「宵越しの金は持たない」見栄っ張りな江戸っ子気質はひろく知られているところです。
その一方で、人形町は古くからの商家が多く、
信用や堅実を重んじる面もあると、人形町に住む人が語っていたことが思い出されます。
「うちは長年のつきあいのあるところからしか原料を仕入れない。
それは、うちのパンを分かってくれるところでないと、
小麦の品質とかに信頼が置けないから」と牧子さん。
閉店間近の時間になっても来店客が途切れないのは、
松村一家が持つ信用や堅実というものが
パンの味にあらわれているからではないでしょうか。

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「サンドウィッチパーラー まつむら」
東京都中央区日本橋人形町1-14-4
TEL 03-3666-3424
営業時間 07:00~18:00
休日 日曜日
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取材:古賀武
11/6のテレビ東京、「モヤモヤさまぁ~ず2」で、さまぁ~ずの二人が訪問した
日本橋人形町のパン屋「サンドウィッチパーラーまつむら」さん。
店主の松村実(みのる)さんと守夫(もりお)さん。
双子の兄弟を中心とする松村一家が紹介されました。
二人の気さくな人柄やパンに対する誠実さも画面から伝わってきました。
そこで、ここのパンはおいしいに違いないと思い、確かめてまいりました。

人形町には老舗のお店が数多く健在です。
親子丼で有名な「玉ひで」は江戸時代から続く料亭です。
また、お座敷洋食の「芳味亭」やコロッケがおいしい「小春軒」など
明治から昭和初期にかけて創業した洋食屋さんもあります。
今回紹介する「まつむら」さんも、そんな老舗のひとつです。
創業は大正10(1921)年ですので、人形町に店を構えて90年。
初代の梅吉さんから数えて、実さんが四代目となります。
ここで少し、梅吉さんにふれてみましょう。
梅吉さんはもともと、人形町から歩いてすぐの小伝馬町で
唐紙(からかみ)のうるし塗りの職人をしていたそうです。
唐紙とはふすま紙のことです。
大正時代には、大半の家が和風のつくりだったので、
ふすま張りが当たり前でした。
そんな時にパン屋へ転身です。
日本人の衣食住は洋風化が進みました。
ふすまのある住まいはめっきりすくなくなったと実感します。
その一方で、パンの需要が拡大してきたことは容易にうかがえます。
梅吉さんは唐紙職人からパン屋へ商売を変わりつつ、
日本人の生活様式の変化を身をもって乗り切ったと言えそうです。
梅吉さんの判断は大当たりだったといえるのではないでしょうか。
「梅吉さんには先見の明があったのではないでしょうか」
そう語るのは、兄弟とともに店を切り盛りする松村牧子さん。
名前からうかがえるように松村一家です。
前置きが長くなりました。かんじんのパンの味を紹介しなければなりません。
はじめに結論をいいましょう。期待に違わぬおいしいパンでした。
一番売れ筋のクリームパン(115円)に加えて
葡萄パン(115円)もしみじみと味わうことができました。
どちらも飽きのこない味なので、食事にもおやつにもぴったりではないでしょうか。

↑クリームパン(115円)
クリームパンについては、まずパン生地をおいしくいただきました。
一口かめば、しっとりとしたやわらかい食感が感じられます。
そして、かむにしたがい、ほどよいコシが味わえます。
また、クリームの味は甘すぎず、くどすぎず。
パン生地との相性は絶妙です。
看板メニューのサンドウィッチやカレーパンをはじめとする惣菜パンもおいしいのですが
葡萄パン(115円)にはちょっと感動しました。

↑葡萄パン(115円)
スーパーでは葡萄がばらばらに混ざった葡萄パンが売られていることが多いのですが
こちらの葡萄パンの断面は葡萄がうずを巻いています。
「葡萄をうず巻き模様になるように成形するのも手作業」(実さん)。
ひと手間の工夫に感心します。
お店のなかにはイートイン・スペースもあります。二十席程度の広さです。
東京証券取引所のある兜町に隣するということもあり、
お昼どきには、お店で購入したパンを食べるサラリーマンやOLさんでにぎやかです。
その後、夕方6時に閉店するまで、
ご近所さんの休憩スペースとして、ひとが途切れることは少ないようです。
そのような常連さんのひとりを示して、
「この人は朝に来て、夕方にも来て。1日に2回も来るのよ」と
牧子さんが説明してくれました。
このように多くの常連客に支えられて90年も続くのは、
下町のパン屋という親しみやすさや
ビジネス街にあるという立地のよさばかりではないと思います。
それは、手ごろな価格でおいしいパンという
商売の基本を踏み外していないからではないでしょうか。
そのような繁盛の背景に、人形町特有の下町気質があると私はみています。
下町といってもさまざまです。
「宵越しの金は持たない」見栄っ張りな江戸っ子気質はひろく知られているところです。
その一方で、人形町は古くからの商家が多く、
信用や堅実を重んじる面もあると、人形町に住む人が語っていたことが思い出されます。
「うちは長年のつきあいのあるところからしか原料を仕入れない。
それは、うちのパンを分かってくれるところでないと、
小麦の品質とかに信頼が置けないから」と牧子さん。
閉店間近の時間になっても来店客が途切れないのは、
松村一家が持つ信用や堅実というものが
パンの味にあらわれているからではないでしょうか。

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「サンドウィッチパーラー まつむら」
東京都中央区日本橋人形町1-14-4
TEL 03-3666-3424
営業時間 07:00~18:00
休日 日曜日
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取材:古賀武
(「モヤモヤさまぁ~ず2」で紹介されたサンドウィッチパーラーまつむら)
コラムニスト:ニュース/取材編集者