一人広報の達人イデルミのコラム

内側から出るものがその人の自分ブランドを築いていく


2011年 第85回キネマ旬報ベスト・テンが発表されました。
ウェブマガジン・のたるからご依頼を受けて、
監督の鈴木正義さんにインタビューさせて頂いた映画
「医(いや)す者として」が、文化映画ベスト・テンの7位にランクインされました。

他にも、観に行った映画「英国王のスピーチ」や「八日目の蝉」、
「冷たい熱帯魚」、「ヒア アフター」、「トゥルー・グリット」などが、
日本映画および外国映画のベスト・テンにランクインされており、嬉しい限りです。

インタビューの中で監督が語っておられるのが
「内側から出てくるもの ー 内発的なものを、多くの人と共有したいと考えています」
という言葉でした。
「今後、どのような映画を創っていきたいでしょうか?映画人としての理想の姿は?」
という質問に対しての回答です。

1月15日、写真家の故星野道夫さんの奥様でいらっしゃる、
星野直子さんの講演会に行きました。
星野道夫さんが撮影された80枚の写真のスライドを見せて頂きながら、
直子さんの優しい口調で、それぞれの背景や撮影時のエピソードを語って頂き、
あたたかい雰囲気の講演でした。
その中で、なぜ星野道夫さんがアラスカへ行ったか、
そのきっかけについて語られておられました。

大学時代、神田の古書店で見つけたアラスカの写真集。
そこに、ある村の名前が書いてありました。
その村に惹かれた星野さんは、村長さん宛に手紙を書きます。
「あなたの村に興味がある。何かお手伝いできることがあれば、行きたい」と。

いくつかの村に手紙を出したそうですが、忘れかけた頃、
一番行きたかった村から「手伝ってもらうことがあるから来ていいよ」と返事が来ました。
それが、大学時代、星野さんがアラスカに行くことになった経緯です。

星野さんの学生時代の親友が山で遭難して亡くなったとき、
星野さんは衝撃を受け、一年ぐらい悩み続けました。
その親友は、将来、一緒に何かやろうと言っていた仲間。
その彼が、突然、目の前からいなくなってしまった。
「人間の一生はいかに短いものか」「それは、ある日突然断ち切られるもの」と、
著書で書いておられます。

長い間悩んだ結果、星野さんは、「自分の好きなことをやっていこう」と決めたそうです。
そして大学卒業後、動物写真の第一人者の助手を務め、
アラスカ大学受験のためにシアトルの英語学校に通い、大学卒業してから2年後、
アラスカ大学野生動物管理学部への入学を果たします。

私が星野道夫さんの姿を初めて拝見したのは、
龍村仁監督のドキュメンタリー映画「地球交響曲(ガイアシンフォニー)」でした。
この映画はシリーズで、世界各国のさまざまな方が登場します。
その中に登場する女性、佐藤初女(さとう・はつめ)さんには、
実際にお会いしてお話を伺うために、青森県まで行ったことがあります。

初女さんは、女学校時代、父親が事業に失敗し、家も財産も失う体験をしました。
それが引き金となり、17歳で、肺浸潤という病気になってしまいます。
笑っても血管が切れるので、声を出して笑うことができず、
咳をしても下駄をはいて歩いても重いものを持っても、血管が切れる。

ある日、大喀血をした初女さん。
注射や薬の効き目はささいなものと感じていましたが、
その反面、食べ物をおいしく食べたときには、細胞が動いて、
体のすみずみまでエネルギーが行き渡る実感を得ます。

そうして食べ物の力を実感し、少しずつ回復していきます。
17歳で発病し、寝たり起きたりの繰り返しをしていましたが、
35歳頃には、ついに、病気が治りました。この時の喜びたるや。

食べ物の力を、身を持って実感したご自身の体験から、
青森・岩木山のふもとにある「森のイスキア」を開設。
心の病を負っている人など、全国から訪れる人を受け入れ、
地元の素材でつくった美味しい食事を提供し、
多くの人を、心を込めた食べ物と初女さんやスタッフのおもてなしで癒やしています。

映画監督の鈴木正義さん、写真家の星野道夫さん、森のイスキア主宰の佐藤初女さん。
彼らは、自分の内側から出るものに素直にしたがって生きてきたと言えるでしょう。

私自身も、1月18日に新聞に掲載されたインタビューで、
3.11の震災がきっかけで転身した背景について、
「はた目には、後先考えない決断だけど、心の声に従った」と答えています。

東京新聞
中日新聞

自己ブランドを戦略的に確立する、自分自身を宣伝していく、
といった内容の出版物が出ています。戦略的に考えるのも一つの方策です。

ただ、「外から見てかっこいいか」「これが流行っているからこっちにしよう」など、
外の要因に惑わされるのではなく、自分の内側から出てくるものに
素直に従って生きていくこと、本能を大切にすることが、
結果的にはその人自身の「自分ブランド」を築き上げるのではないかと感じています。

<リンク>
ウェブマガジン・のたる 監督インタビュー「医(いや)す者として」鈴木正義さん
前編
後編

星野道夫公式サイト

佐藤初女「森のイスキア(雪のイスキア)」

映画「地球交響曲(ガイアシンフォニー)」オフィシャルwebサイト
コラムニスト:井出 留美

office 3.11代表

井出留美オフィシャルブログ http://iderumi.com/
Twitter of Dr. Rumi Ide, Ph.D. : http://twitter.com/rumiide
office 3.11 http://www.office311.jp/

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