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人間の愚かさに警鐘を鳴らす、今なお有効なシニカルな笑い。~『博士の異常な愛情』~

2012年11月09日


怪優:ピーター・セラーズが大統領、英軍大佐、狂気の科学者の3役を演じ、
核兵器と第三次世界大戦の恐怖を米ソ冷戦時代に皮肉った、
スタンリー・キューブリックが贈るブラック・コメディの大傑作。
笑えて怖い、鬼才ならではのエッジとユーモアの融合をご賞味あれ。


*  *  *  *  *

【観ずシネVol.42】

『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて
 水爆を愛するようになったか』(1964年/英=米/監督:スタンリー・キューブリック)
★10/19(金) 13:00~14:40 NHK BSプレミアム

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長編は僅か12本と、決して多くない作品数。
しかしながら、独特の感性と完全主義とで映画史に名を残す鬼才:スタンリー・キューブリック。
みなさんはどの作品が印象深いでしょうか?

人類の進化を巡って、そのめくるめくヴィジョンを映像化し、
原作以上に後世に残るインパクトを与えた名作『2001年宇宙の旅』(1968年)

あるいは、狂気的な近未来図を、有無を言わさぬバイオレンスで描いた
『時計じかけのオレンジ』(1971年)

はてまた、ステディ・カムという撮影システムを開発し、
恐ろしいまでに静かでスームスな移動ショットで心理的恐怖を極限まで煽った
ぞくぞくするような傑作ホラー『シャイニング』(1980年)

どれもこれも必見の傑作ですが、
いずれに共通するのは、エッジの利いた独特の切れ味です。

そんなキューブリックが、『2001年~』の1作前に撮った
『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて
 水爆を愛するようになったか』。
その馬鹿々々しいほど長いタイトルに象徴的ですが、
そのエッジに珍しく笑いの要素を取り込んで、
核戦争の恐怖と人間のアホさ加減を描いたブラック・コメディです。

核兵器を積んだ飛行機なり潜水艦なりが、情報を遮断された中で
世界を破滅させる可能性のある重大な決断を迫られる。
このような時間的・空間的なシャットダウン状況の中で生まれるサスペンスは
他にもあります。
(先日急逝したトニー・スコット監督の『クリムゾン・タイド』などもそう)
ただ、こうしたお話は大抵シリアスな展開になるものでして。
この『博士の異常な愛情~』のようなブラックな味わいのものは珍しいかと。

そのコメディ路線に適役だったのが、怪優:ピーター・セラーズ。
しかも1人3役!
もうこの人が全部持ってっちゃってます。

この作品の前年には、最大の当たり役=ピンク・パンサー・シリーズが開始。
60年代のピーター・セラーズってすごい勢いだなあ。
何ってったって、かのビートルズのプロデューサーである
ジョージ・マーティンがセラーズのレコード(歌も歌ってたのね...)を
プロデュースしているくらいですから。
(逆にセラーズのようなビザールな音楽に対応出来ていたからこそ、
その経験が八面六臂のビートルズ・ミュージックに還元されたという説も)

ただ、今作のセラーズは、
まるで自身のキャラクターとイコールのようなクルーゾー警部と違って、
キューブリックの諧謔に満ちたブラックな笑いを画面に定着させる
完璧な触媒として機能しています。
このあたりの統制力というか、自身の感覚のねじ込み具合というか
さすがはキューブリックだ、と。

愚かな人間同士の争いの果てに、
たった一人の暴走によって世界が破滅するかも知れない。
そんな薄氷の氷のごときリスクに、もはや我々は笑うより他はない。
鬼才の抱いた諦念の行方が、そんなひきつったシニカルな笑いに至った米ソ冷戦の時代。

オバマ大統領が、メドベージェフ前ロシア大統領と共に、
新戦略兵器削減条約(新START)を定め、
今回の再選にあたっても、ロシア側から歓迎の声があがる今。
『博士の異常な愛情~』改めて見直すと、遠き時代を見るようですが。

米ロ関係のバランスが保たれてはいるものの、
新たな火種が世界中のあちこちで生まれている現在。
映画が鳴らした警鐘・それを観る僕たちの自虐的な笑いは、今もなお有効なのです。

(おしまい)

*  *  *  *  *
 
【今週の"観ずに死ねるか!シネマ"】

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007年/日)
★11/9(金) 21:00~22:54 日本テレビ

95年に放映開始され、一大ブームを巻き起こしたアニメの
最新デジタル・リニューアル版。
難解と言われたオリジナル・アニメが全然難しくも何ともなく理解でき(たつもり)、
しかもガンダム以降の同系列アニメにほとんど詳しくない僕(45歳・男)が
改めて見直したらどう思うのか?
自分自身の実験もかねて観てみます!
「ヤシマ作戦?」それ何だったっけ?←すでに周回遅れ...。

コラムニスト:助川 仁

ビクターエンタテインメント株式会社 編成管理チーム長 兼 KOKIAディレクター

Jin Bonham名義 Twitterアカウント
http://twitter.com/jinbonham
Jin Bonham名義 映画ブログ【アンドロイドは映画館でポップコーンを食べるか?】
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ビクターエンタテインメント公式サイト
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