一人広報の達人イデルミのコラム

忘れてはいけない ー 自殺未遂で一日10人近く病院に運ばれる被災地の現状 ー


震災から一年が過ぎました。
一年を区切りに、2012年3月11日当日もしくはその前後で、
慰霊祭や震災復興イベントが開催されました。

ただ、大切な人を突然、理不尽な形で失った人にとって、
「一年」などという、そんな区切りは、何の意味も持たないでしょう。

多くの方が、「もう避難所は無くなった」と思っておられると思いますが、
震災から一年が過ぎ、まだ避難所に暮らしている方はおられます。
埼玉県加須市にある、旧騎西(きゅう・きさい)高校(2008年に閉校)は、
今も避難所として使われており、福島県双葉町の300人ほどの方が暮らしておられます。

避難所では、家族団らんのような、近い者同士だけが
家でくつろぐような暮らしやコミュニケーションが、物理的に不可能な状況です。
来週月曜日に、こちらの避難所を訪問し、どのような形の支援が最も望まれているのか、
お伺いしてきます。

被災地では、体の具合が悪くて来られる方の他に、震災で大切な人を失い、
仕事を失い、家を失い、生きる気力を失った方が、自殺をはかり、
病院に運ばれてきているケースがあります。
場所にもよりますが、一日10人近くが自殺未遂で運ばれてくる日もあるそうです。
震災からほぼ毎週、企業勤務の合間を縫って
被災地へ支援に行っている仲間から聞いた話です。

こころの問題は、ショックを受けた、その直後に出てくるとは限りません。
まわりを気遣い、「しっかりしなくては」と、感情を抑えてふるまい、
内面に隠していた感情が、半年、一年、あるいはそれ以上経って出てくる場合もあります。
「ときぐすり(時薬)」といって、時間が経過すれば悲しみは薄れる、とも言いますが、
時間が経ったからこそ、ためていた感情があふれ出てくる場合もあるでしょう。
時間が経てば経つほど、会えない悲しさがつのることだってあります。

行政の方々は、震災の後、「すべての人に平等に(対応する)」と
おっしゃっておられました。
任務としてそれは当然でしょう。ただ、「平等に」を意識するあまり、
それが足かせとなって、できなかった支援もたくさんあります。

そして原発問題が起こり、福島の方々が全国に散った今、
「すべての人へ平等に」など、無理な話です。

仮設住宅に住む人、アパートに住む人、知人の家に間借りする人、避難所に住む人 ― 
すべての人に平等な支援は不可能です。
被災した人同士の間でも、お互いをうらやんだりねたんだりする状況もあると聞いています。

一方で、被災地をねらった強盗や犯罪も、震災直後から起きています。
世界から賞賛された日本の姿勢ですが、その陰では、あくどい行為も行われています。
実際、その渦中におられ、そのような行為を目の当たりにした方は、
精神的に非常なショックを受けておられ、とても、そのありのままの内容を
書いたり伝えたりすることはできないそうです。

人の毎日の暮らし、人のこころ、人のいのちは、一番大切なものです。
震災は、終わってはいません。
一人の力が集まれば助けになることも、きっとあるはずです。

福島県双葉町避難先(避難所)
埼玉県加須市(かぞし)旧騎西(きゅう・きさい)高等学校
http://www.facebook.com/hinanjo.kisai
大震災 避難所・仮設住宅情報ガイド
http://homepage2.nifty.com/sriracha/co/FIGHT_iakobo.html
コラムニスト:井出 留美

office 3.11代表

井出留美オフィシャルブログ http://iderumi.com/
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