一人広報の達人イデルミのコラム

若々しい肌を保つ秘訣は世界レベルのパン作りに隠されていた


2012年2月27日(月)放映の「プロフェッショナル仕事の流儀」には、
故郷、飛騨高山でパン作りを続ける成瀬正(なるせ・ただし)さんが登場しました。

「不満足こそが、極上を生む」のタイトル通り、
常に妥協せず、不満足たれ、という姿勢が、
成瀬さんのパンを世界レベルにまで押し上げてきたことが紹介され、
その生き方に共感できました。

というのも、私も前職時代、社会人大学と大学院に6年間通い、
栄養学の分野で修士号と博士号を取得したのですが、
修士号を取っても、博士号を取っても、
「これで終わり」「OK」という心境にはなれなかったからです。

取得する前は、「学位をとれば、もうそれでその上に行こうとは思わないかな」
と思っていましたが、どちらを取っても納得のいかない自分がいました。
かといって、やみくもにいろんな学位や資格を取りたい、ということではなく、
自分のレベルが頂点に達したと思った(勘違いした)時点で、
その人の成長はおしまいで、人間、死ぬまで成長し続ける、
ということなのだと思います。

この番組で、最も印象に残った言葉は、
成瀬さんがクロワッサン作りでおっしゃっていた一言でした。


「小さなところが最後には大きな差になる」


これは、まさに私が最初の職場であるメーカー研究所で、
20~50代男女100名の皮膚のデータをとっていたときに実感したことでした。

成瀬さんの作るクロワッサンは、ほんの小さな厚みの中に、
27層もの細かい層が重なり合って出来ており、
サクッとした歯触りを生み出すための細やかな心配りが隠されています。
成形の際、爪先(生地の先)をつぶさないように気をつける、
一度巻いた生地を開いて巻き直し、余裕を持たせて生地を膨らみやすくする、
卵液を塗る際、層になっている部分に塗ると固まってしまい、
膨らまなくなるので、そこには塗らないようにする、などなど・・・

「小さなところが最後には大きな差になる」

というわけです。

私がかつて皮膚のデータを取っていたとき、目尻のしわを数値化していました。
目尻に、二剤を塗布した、やわらかいゴム状の剤を塗り、
レプリカと言われる型をとります。固まったらはがします。
目尻のしわのない、若い世代では、はがしたものは平らです。
目尻に深いしわがある人は、はがすと山ができます。
このレプリカに対して、斜めに光をあて、意図的に影をつくると、
しわのない人は山がないので影は無く、
しわのある人は山が高いので影の面積や長さが大きくなります。
これを画像解析して数値化する、という内容です。
笑いじわのような、ポジティブなしわ、というより、
紫外線や乾燥、加齢にともなう、できれば少なくしたい方の、しわの評価です。

このとき観察されたのは、20~30代といった若い世代では、
個人差は、ほぼない、ということでした。
皆、肌は若いなりに一様にきれいな場合が多く見られました。
そして40、50代と年齢を重ねるにつれ、
どんどん個人差が大きくなることがわかりました。
若々しい肌の人と、年齢相応よりはるかに年を経たような肌になる人とに分かれ、
その差は年代を重ねるごとに大きくなっていきました。

分析した結果、これは、毎日の小さな積み重ねが、
最後には、大きな差になる、ということが推察されました。
しみ・しわの原因になる紫外線を避ける、乾燥を避ける、保湿を心がける、
値段が安価な製品でも、毎日、肌のお手入れを続ける、・・
といった、小さな小さな毎日の積み重ねが、
年齢を重ねるとともに個人差になって現れてきました。


「小さな積み重ねが最後には大きな差になる」


これは、私が最初の職場で得た、最も大きな教訓です。

そして、これは、皮膚のお手入れだけに言えることではないな、と思いました。
勉強も、運動も、仕事も、何でもそうだろう、と。
一攫千金みたいなことも、時にはあるかもしれないけど、
小さな積み重ねをおろそかにしてはいけないのだろう、と。

そう考えると、年齢を積み重ねるのが、とても楽しみになりました。
自分の積み重ねてきたものが、じわじわと、後になって現れてくるからです。

最初の職場で得た教えを、世界レベルのパンを作るパン職人、
成瀬さんの口から出たのを聴いて、とても嬉しくなりました。

小さな積み重ねは、すぐに現れないんですね。
あるとき、あれ? と、なんだか高いところまで来ている自分を感じます。
だから、すぐに結果が出なくても、決してあせらないことが肝要と思うのです。

NHK プロフェッショナル 仕事の流儀
第176回 パン職人 成瀬正 「不満足こそが、極上を生む」

岐阜県・飛騨高山のブーランジェリー トランブルー
コラムニスト:井出 留美

office 3.11代表

井出留美オフィシャルブログ http://iderumi.com/
Twitter of Dr. Rumi Ide, Ph.D. : http://twitter.com/rumiide
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