箸道 ~食と生活とおいしい生き方~

ニホンゴの怪

 

おはようございます。
「箸道」と「サイコロジック」の牟田実(むたみのる)です(^。^)

日本語を勉強しているアメリカ人の友人から質問を受けたことがあります。
「日本語の『いいです』『結構です』というのは、
『イエス』という意味か、『ノー』という意味なのか、どちらなの?」

たしかに・・・

何か確認を求める時など、「これでいいですか?」という質問に
「いいです」「結構です」といえば、イエス。

食事の時など、「お替りいかがですか?」という質問に
「いいです」「結構です」といえば、ノー。

ほんとだ。

でも、我々日本人はしっかり使い分けている。
それを「どう使い分けるのか説明しろ」といわれても
私のレベルで説明は、ちょっとねえ・・・(苦笑)。

結局、「まあ、禅の心で理解する。つまり、わび、さびだな」と
訳のわからない適当な説明をしておきました。
そうしたら、「I see.(なるほどね)」だって。
今度は、こちらが訳わかりません。

今日は、そんな日本語について、お話ししたいと思います。

自宅そばのスーパーや八百屋さんに行くと、感心することがあります。
何に感心するかって? それは、日本語がしっかり使われているからです。

「らっしゃい! らっしゃい! 奥さん安いよ。持ってきな!」

「独身なのに奥さん?」。
「持ってきな!と言われて、そのまま持っていったら"万引き"だよね」。

いえいえその日本語ではありません。
今日は商品の単位に関する日本語です。

キャベツ 一玉 ×××円
ホウレン草 一把 ×××円
豆腐やこんにゃくは「一丁」、
タラコは「一腹」、
イカは「一杯」。


同じ商品でも、数のまとまりによって表記の仕方が違う場合もあります。

バナナ 一房 ×××円
バナナ 一本  ××円

ブドウもバナナと同じく「一房」。
しかし、バラバラだと「一粒」。

さて、ここでクイズです。
「イチゴはバラバラでは一粒といいます。
では、数がまとまっている状態では、何と言うでしょう?」

・・・

答えは、このコラムのどこかにあります。

 

話を続けます。


サンマ 「一尾」 ×××円、これが開きになると
サンマの開き 「一枚」 ×××円となります。
乾麺は 「一把」、その麺が"生"なら 「一玉」

これらは、いずれも形態によって違う。

また、中身があるかないかで呼び方も変わる場合もあります。

コーヒーカップにコーヒーが入っていれば、「一杯」
中身がなくて、コーヒーカップだけであれば、「一客」


そうなんです。商品や、商品の状態や形態によっても、数え方の単位が違ってくるのです。

皆さんは、なんでもかんでも「個」で数えていませんでしたか?


おー、何と「ニホンゴ」は奥深いのでしょう。
他に、羊羹(ようかん)は「一棹(さお)」、食パンは「一斤(きん)」、
海苔は「一帖(じょう)」というのもあります。
日本語を勉強している外国人に尋ねられても、しっかり説明できるようにしておいてください。


会社勤めしている頃の話です。
仕事で、自社が運営している給食現場に行きました。
そこに勤務する管理栄養士さんが、食材検品の時に、
入荷伝票とつけ合わせながら、玉ねぎを一個二個と数えていました。
それを見て、注意したことがありました。

「玉ねぎは一個二個でなくて、一玉二玉と数えなさい」

どうでもいいことのようですが、いくら栄養素や熱量のことを語れても、
こういうことがしっかりできないと、ちゃんとした食は提供できません。
食材や調理に対する思いが違ってくるからです。


自宅そばのスーパーや八百屋さんの話に戻ります。

どちらもしっかりと数表記がなされています。
当たり前と言えば当たり前のことですが、
さすがです。これが、いつも私が感心していることです。


それにしても「ニホンゴ」はむずかしい。


さて、今日のお昼は、ラーメン屋から出前でもとりますか。

「出前」の時は何というのでしょう。

そうです。それは、「一丁」。 「出前一丁」なんてね。
見事に滑りました。


最後までお読みいただきありがとうございます。
また、お会いしましょう。


*クイズ:イチゴがまとまっているときの数え方の答え・・・それは、「パック」でした。 
あらら・・・ ジョークとおもって、ご勘弁を。

コラムニスト:牟田 実

食と生活ラボ代表

食と生活ラボ代表 http://www.shoku-labo.com/
NPO法人日本箸道協会 副理事長兼事務局長 http://www.hashido.net/
Facebook: http://www.facebook.com/minoru.muta
m-muta@hashido.net

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