あの日の映画少年は今

水野美紀主演の自主制作映画『KARAKURI~カラクリ~』『イヤータグ』


月一の更新もままならない山岸です。どーも。
毎月末更新を目指そうと心に決めたにも拘わらず第二回にして早くも挫折。
よくよく考えてみれば月末は締め切り地獄。

何故人は「今月中に仕上げてくれればいいよ」という言葉に甘んじるか。
「今月中」という言葉に無限の奥行きを感じてしまう愚かさ。
ちなみに言っておくと2月の「今月中」はちょっと少なめなので注意されたし。

ということで今後は月中更新を目指して頑張る所存であります。
どうか一つ見捨てずにスタバの影からお見守り頂きたい。

さて、自主制作映画の涙ぐましい裏側を紹介していこうという
ターゲットが全く分からないこのコラム。
自主制作映画を理解してもらうには何よりも作品を見て頂くのが一番なのですが・・・

あ!そういえば今週末(2/11土)から、
ちょうど上映がはじまる自主制作映画があったんだった!!

白々しい文脈からご理解して頂けたと思いますが、
今回は私の制作した作品2つをご紹介します。
ちゃんと言っとかないと「ステマ乙」とか言われるんで。

さて1作品目はSF時代劇『KARAKURI ~カラクリ~』。

見ての通り水野美紀さんが出てます。主演で。
どこの馬の骨かもしれない我々自主制作映画チームの作品に、
あの水野美紀が出演してしまっているわけで、
皆さんは「お前らいったいどんな悪事を働いたんだ」とお思いでしょう。

この作品、わたくしはプロデューサーという肩書きで参加しておりまして
監督は石田肇という輩です。
この石田肇がとある商業映画の撮影にスタッフとした参加した際に
水野美紀さんと知り合い、そこから本作品の出演に繋がったというわけです。
なんか普通なエピソードですいません。

SF時代劇というちょっと変わった設定の映画で
「日本が和の心を忘れていない未来の物語」というコンセプト。

日本が現在のように西洋文化に染まらず、和の心に忠実に進化し続けていたら、
今の日本とは全く違う姿であったに違いない。
またその延長上である未来の日本はこれまでの日本映画になかった新しい世界となるはずだ・・・
そんな大それた事を考えて私たちはこの作品に挑みました。マジメですいません。

監督である石田肇は元々広告デザイナーであり、類い希なるビジュアルセンスの持ち主です。
そしてそれを具体的に示せる絵心も兼ね備えています。
石田が「KARAKURI」のために描いたイメージイラストをいくつかお見せしましょう。

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どうですか。「もうアニメでやりゃいいじゃん」とお思いでしょう。

私もそう思います。

しかし、彼は実写に拘るのです。
そして実写化してみたいと思わせるだけの力が彼の描くイラストにはありました。
その力が水野さんをはじめ私やスタッフを引きつけたのでしょう。
そして男前です。身長も高いです。英語もペラペラです。性格もいいです。

事故ればいいのに。

撮影のほとんどを冬の京都で行いました。凍えるような寒さの中の3日間。
お金のない我々は激安ホステルに外国人バックパッカーと共に寝泊まりし
朝から朝まで撮影しておりました。ほとんど寝れてません。

そして、ここのシャワーが酷かった。
生ぬるいお湯しかでないシャワーは冷え切った体を暖めることは出来ず、
隣の人が使うと湯量は半分となり、さらに隣の人が使うと3分の1になるという仕様。
3人が同時に使った場合、一見するとショボイ修行です。
シャワーを浴びて部屋に帰る際には一度外に出て冷気にさらされる試練が待っていました。
こんな状態ですからスタッフの中には3日間シャワーを浴びないと
決意をする者も少なくはありませんでした。

それでも1名1泊1,200円という破格は我々には嬉しい事でした。
ここで予算を節約できたおかげで、美しい衣裳を作ることができたのです。

2作品目の紹介です。サイコサスペンス『イヤータグ』。

こちらは私が監督しました。
私の住んでいる横浜が舞台のサイコサスペンスです。
スタイリッシュでスマートな『KARAKURI~カラクリ~』とは打って変わって、
泥臭さや古くささを意識した作品です。

時代設定こそ現代ではありますが、映像や主人公の雰囲気は
昔の刑事ドラマのようになればいいなと思って作りました。

ビデオカメラに特別なアタッチメントを付け不鮮明な映像を作り出したり、
現存の洋服をカスタムしわざとダサイ服にしてみたりといろいろ工夫しています。

舞台は横浜と言うことで、半分ほどは横浜で撮影したものですが、
もう半分は茨城県、山梨県、長野県などなど様々な場所で撮影しています。

長野での撮影もまた寒かったです。
スタッフが私のために入れてくれたお茶を1カット撮り終えた後に飲もうと思ったら
すっかりシャーベットになっていたなんてこともありました。

横浜での撮影も寒かった思い出ばかりです。
特に雨の日の撮影は忘れることが出来ません。
その日は朝から雨で撮影を中止する方向で話が進んでいたのですが、
念のためと思って現場を観に行ったんです。そしたら、やだカッコイイ。
雨に濡れた現場はまるでブレードランナーのようにかっこよかったのです。

「やるしかねぇ!」

私はスタッフの目を見ずに言いました。目を見るのが恐かったのです。
そういうわけで急遽、雨の中で撮影することになったのですがスタッフは大変です。
雨の撮影の予定じゃなかったわけですから
慌ててビニール傘を組み合わせて機材を守りながらの撮影を行いました。

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そして、3月初旬の早朝の雨は冷たかったのです。
久しぶりにあった元カノくらい冷たかった。
レインコートも全員分ありませんでした。
制作の與古田君はレインコートを技術スタッフに優先したためずぶ濡れでした。
でもお陰様で、今となっては雨じゃなかったらあり得ないと言うほどの
良いシーンになりました。
キャスト、スタッフの皆さん。本当にありがとうございました。

ちなみに與古田君は翌日40度の熱を出して寝込みました。

他にも様々なエピソードが繰り広げられ撮影は2ヶ月にわたりました。
会社休んだり、バイト休んだりで撮影が終わる頃にはみんな貧乏になってました。
1年分の有給を使い切りました。会社での立場もやばくなったそうです。
そんなキャスト、スタッフみんなの人生をなげうって作った作品が「イヤータグ」です。
これぞ自主制作映画と言えるでしょう。

そんな『KARAKURI~カラクリ~』と『イヤータグ』が横浜で同時上映されます。
是非皆様に見て頂きたい。
初日は上映後に水野美紀さんが舞台挨拶に出てくれます。

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『KARAKURI~カラクリ~』『イヤータグ』同時上映

■会場
ジャック&ベティ
http://www.jackandbetty.net/eartag-kara.html
横浜市中区若葉町3-51
◆京浜急行線 黄金町駅下車 徒歩5分
◆横浜市営地下鉄 阪東橋駅下車 徒歩7分
◆JR線 関内駅北口下車 徒歩15分
※黄金町駅・阪東橋駅では改札にて劇場までの地図をお受け取りいただけます。
※申し訳ございませんが、専用の駐車場はございません。
劇場前の通りのコインパーキングをご利用ください。

■上映日時
2月11日(土)~2月17日(金) 20:00 上映開始
★舞台挨拶
2月11日(土)
水野美紀さん・正木蒼二さん・石田肇監督・山岸謙太郎監督
2月12日(日)
正木蒼二さん・片山瞳さん・石田肇監督・山岸謙太郎監督

■チケット
一般1,500円/学生・シニア1,200円/予約・前売1.300円
※前売券は「KARAKURI」「イヤータグ」公式サイトにて
http://karakuri-the-movie.com/
http://eartag.jp/







コラムニスト:山岸 謙太郎

ProjectYamaken 映画監督

TwitterURL:http://twitter.com/yamaken77
ProjectYamaken公式サイト:http://projectyamaken.com

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