イタリア見聞録Ⅱ
2011年12月26日
皆様、良いクリスマスをお過ごしだったでしょうか?
イタリアではこの時期、教会はもとより、
一般家庭でも「プレセピオ」という独特の飾り付けをします。
イエス・キリストが馬小屋で生まれた様子を再現するもので
12月の初旬に飾りつけ、12/25の朝にイエスの赤ん坊の人形を飾って完成です。
翌年の1/6まで飾り付けられるそうです。
(フィレンツェの街角のプレセピオ)
さて、イタリアの日常について前回書ききれなかったトピックスが
まだいくつかありますので、書き綴ってみたいと思います。
イタリア人の喫煙行動
イタリアでは喫煙スペースが設けられている場所以外、
基本的に室内は禁煙です。
しかし、街を歩くと成人のほぼ半数が歩行喫煙をしています。
特に若い女性の喫煙が目立ちますね。
私自身は非喫煙者(しかもどちらかと言えば嫌煙)なので
日本で若い女性が歩きタバコをしているのをみると「カッコ悪いなぁ」としか思わないんですが
イタリア人女性が吸いながら歩いていると何となく小粋に見えるから不思議です。
まあ、単なるコンプレックスの表出に過ぎないのかもしれませんが(笑)。
喫煙者に対して過酷なのか寛容なのか、よくわからない国ですが、
一つだけルーズなのは、タバコのポイ捨てに対してです。
日本では携帯用の灰皿なんていうモノが売られているほど
ポイ捨てに関しては厳しいですが、イタリアでは吸い終わったタバコは
道に捨てるモノというのが常識のようでした。
歴史ある街の石畳の道路の目地の部分には吸い殻が必ず転がっています。
その割にはゴミ箱の数は非常に多いんですから、またややこしい。
お陰で、ミネラルウォーターのペットボトルなんかは、
すぐに捨てられたんで重宝しましたがね。
吸い殻はゴミのうちにも入らないってことなんでしょうかね?
なお、ゴミに関しては治安の良し悪しも関係あるようです。
治安のいいミラノなどはほとんどチリひとつ落ちてないという状態でしたが
ローマは地域によってまちまちでしたし、ホームレスや不法入国者の多いナポリは
バスの車窓から見ただけではありますが、街中ゴミだらけでした。
(サン・ピエトロ大聖堂前で
待機している馬車の馬)
イタリアの交通事情
イタリアの都市部の公共交通機関はバス、地下鉄、
トラム(路面電車)などがありますが、
どれも「市民の足」というニーズを満たし切れていないようです。
ローマなどは300万人近い人口を有するというのに地下鉄が二本しかないんです。
現在3本目と4本目の工事にとりかかっているそうですが、歴史のある都市だけに、
少し掘り進めると、すぐに遺跡に突き当たってしまい、
学術調査が入るので思うように工事が進まない。
現在の人間の暮らしが大切なのか?学術的価値か?
にわかに答えを出せる問題じゃありませんね。
(「市民の足」の一つ、トラム)
結果として、「市民の足」という機能を担うのはマイカーということになります。
ローマの街中はどこもかしこも自家用車の列と、違法駐車の嵐。
どんなに狭い路地でも必ず駐車の列が出来ており一車線分を完全に潰しているので、
また渋滞が酷くなるという悪循環ですが、決定的な解決策は見いだせていないようです。
上述した、開発か?遺跡保護か?という問題も大きいのですが
他に二つほど原因があります。
(駐車スペースをなくせば、
もっと広く道路が使えるのに...)
一つは交通法規。日本の様に交通違反を犯すと減点されていって
免許取り消しになる、とかいう制度がなく、駐車違反の場合は罰金だけだそうです。
駐車場に入れて駐車料金を払うのも、罰金を払うのも大して違いはない、
というのが違法駐車をする人々の根本理念のようですね。
もう一つはラテン気質。
目的地の真ん前に停めないと気が済まない、というのがラテン気質だそうで、
10m離れるのもいやなんだそうです。従って道路に平行に駐車するのはまだいい方で
ナナメだったり、小さな車等は道路に垂直に停まっていたりさえします。
しかも少々窮屈なスペースなら、両脇の車をはねとばしてでも
コジ入れる強引さも持ち合わせています。
彼の国の人々にとっては車は「消耗品」。
大事に使おうという観念はほとんどないと言って良い。
バンパーはぶつけるためにあるもの、擦り傷くらいは気にすることの内には入らない。
ボディーのへこみだってへっちゃら、へっちゃら。
「セカンドルーム」としてクルマを大切に可愛がる日本人とは
まったく正反対の考え方ですね。
(無秩序な駐車方法)
ローマの泥棒事情
トレヴィの泉の前の広場はスリのメッカです。
たいていの観光客はここで小銭を投げるために財布を取り出しますから、
スリにとっては獲物の在処がはっきりわかる、絶好のスポットです。
一時はジプシーの親方が、朝、子供たちをクルマで連れて来て広場に放ち
組織的にスリをやらせていたりもしたそうです。
我々のツアー一行も、現地ガイドさんから、トレヴィの泉に行く前には、
バスの中で財布を出して小銭を用意しておき、現地では財布のサの字もみせないことと
バッグ類はしっかりと前で抱えるようにという注意を受けました。
更に私は「寄らば、斬るぞ!!」的な気合いを十分に入れて身構えていたので
幸いなことに被害は受けませんでした。
(夜になっても人出の絶えない
トレヴィの泉。油断大敵です)
最近流行っているのが、拙い日本語で
「スミマセン、アナタノ、テヲミセテモラエマセンカ」と言って近づいて来、
手のひらを差し出すと、手首に素早くミサンガを巻いてしまい、
法外な金額をふっかけるという手口だそうです。
うっかりと引っかかって1万ユーロふんだくられた被害者もいたそうですよ。
アラブ系の顔立ちをした人間が多いそうですから
彼の地では怪しげな日本語で話しかけてくるアラブ系の人物にはご用心を。
もう一つ、若い女性が笑顔で近づいて来て、
いきなり花束をくれる、という手口もあるそうです。
これもうっかり受け取ってしまったら、法外な金を請求されます。
特に日本人は街角で無料で配っているモノを貰い慣れていますから
ついうっかり受け取ってしまう、ということが多いそうです。
こちらにも十分ご注意を。
(「ミサンガ詐欺」、「花束詐欺」が
多数出没するというスペイン広場)
ご注意ついでに余談を一つ。私はこの旅にiPadを持っていき、
現地でちょこちょこメールチェックをしたりフェイスブックをのぞいたりしていました。
時間にして一日10分程度のものだったと思います。
帰国後ソフトバンクモバイルから一通の封書が...。
中身は海外でデータ通信をした際の料金の請求書でした。
その額なんと9万円余!!
「サッシカイア」という世界的に有名なスーパータスカンワインが
5本も買えるほどのオカネがかかってしまいました。
海外でデータ通信をする際はくれぐれもご用心を。
スリなんかに遭うよりよっぽどでかい「被害」を受けました...。
取材:江良与一
コラムニスト:ニュース/取材編集者