観ずに死ねるか!~今週のシネマ選~

スマホを持ったシャーロック・ホームズ!?まさかの新設定は病みつきになる面白さ!『SHERLOCK/シャーロック』


ミステリ好きなのですみません!今回は映画ではなく、特別にTVドラマを。
何故ならこのシリーズは、世界各国のミステリ・ファン、
そしてシャーロキアンから大絶賛の話題作なのです!
あのシャーロック・ホームズが現代に生きていたら?
現代が舞台ならではの設定や小道具の数々、原作そのものの灰色の頭脳による推理。
シーズン1の全3話が日本初放送の字幕版で一挙放映されました。

*  *  *  *  *

【観ずシネVol.38】

『SHERLOCK/シャーロック』(2010年/英)シリーズ1(全3話)
★9/8(土) 14:00~19:00 AXNミステリー

-----------------------------------------------------------------------

19世紀末のロンドンで生まれた、世界中で一番有名な名探偵、シャーロック・ホームズ。

同居人のワトソン医師を語り部にした4つの長編と56の短編は、
天才的な推理力を発揮する<灰色の頭脳>を持った探偵が活躍するという、
ミステリ小説の鉄板パターンの原型にして完成形のようなもの。
当然、これまでにも多くの映像化作品が生まれています。

その中には、一部パロディ的なものがあるものの、そのテの作品の出来はそこそこ。
やはり軽い気持ちでいじるにはアンタッチャブルな作品なのでしょうか?
怪奇映画界の名優ピーター・カッシングがホームズを演じ、
英国のホームズファン協会が唯一公認するホームズとも言われる『バスカヴィル家の犬』(1959年)や、
英グラナダテレビが制作し、5シーズンも人気が続いた、ジェレミー・ブレット演じるホームズなど、
クオリティの高さはどうしても、『原作にいかに忠実か?』という、
世界のシャーロキアン(=シャーロック・ホームズ・マニアの俗称)の納得度に比例していました。

ですから、そんな定説を覆すような、
原作いじりまくりの野心作にして且つ傑作の映像化作品が、
まさか自分のリアルタイムで生まれようとは思いもよらず!

そうです。2010年に新たに生まれたBBC制作の『SHERLOCK/シャーロック』は、
数あるホームズものの映像化作品に、新たな1ページを刻むであろう面白さなんです。

さて、この作品の少し前の2009年。ガイ・リッチー監督の映画『シャーロック・ホームズ』で
ロバート・ダウニー・Jr がホームズを演じていました。(ワトソン役はジュード・ロウ)
続編の『シャーロック・ホームズ・シャドウゲーム』(2011年)も作られ、
めでたくヒット・シリーズになっていますが、こちらはキャラと舞台設定だけを拝借し、
ミステリではなくアクション映画にしたもの。
その分、特にホームズに詳しくても詳しくなくても楽しめるように出来ていますが、
言わば別モノです。

しかしこの新しい『SHERLOCK/シャーロック』は、
シャーロキアンだろうとそうでなかろうと、老若男女全部まとめてかかって来い!
という気合十分のニューアイディア満載ながら、
シャーロキアンでも、いやシャーロキアンなら尚更大満足という優れもの。

しかも、<画面情報が全てでありながら、隠すところは隠さなきゃいけない>という、
ミステリを映像化する際の一番難しいポイントも、見事にクリアしているのです。

ニューアイディアの胆は、何と言っても舞台を19世紀末から現代へと大胆に変えたこと。
スマホを操り、サイトを運営するホームズなんて!
そして、事件の顛末をブログに書くワトソンなんて!
しかし、この大胆な発想が見事に功を奏し、正に今の僕たちと共に呼吸をする
魅力的なホームズ&ワトソン(&宿敵モリアーティ)が誕生したのです。

ホームズを演じるベネディクト・カンバーバッチも、
ワトソンを演じるマーティン・フリーマンも、
モダンな解釈でありながら、原作イメージを裏切らない絶妙な落としどころ。
観ていて思わずニヤリとしてしまう名コンビになっています。

また「映像作品としてのミステリ」の難しいポイントも、
映像化が前提であることを熟知した脚本と演出のコンビネーションが実に巧みにクリア。
観終わった後で、もう1回アタマから観たくなる。
伏線はここにあったか!と2度楽しめる。
そんな映像ミステリ作品には、そうそう出会えるもんじゃありません♪
うるさいミステリ・ファンも納得の仕上がりは、以下の受賞暦を見ても保証済みです。

● 英国アカデミー賞 最優秀テレビドラマ賞、テレビ部門・最優秀助演男優賞
 (ジョン・ワトソン役:マーティン・フリーマン)
● エミー賞 ミニ・シリーズ部門・脚本賞
● 2011年 海外テレビドラマ ベスト・テン ミステリー&サスペンス編 1位 総合5位
  (「これが面白い!海外テレビドラマ ベスト・テン2011」キネマ旬報社刊)

それから最後に。おすすめはやはり字幕でご覧になる事だと思います。
ロンドン生まれのシャーロック・ホームズの物語は、
雰囲気たっぷりのイギリス英語で「耳」も同時に楽しむのが、やっぱり一番!
Today は、"トゥデイ"じゃなくて"トゥダイ"っしょ^^

さて、このシリーズ。今のところレンタルや販売で観る事が出来るのは、

シーズン1
第1話『ピンク色の研究』
第2話『死を呼ぶ暗号』
第3話『大いなるゲーム』

シーズン2
第1話『ベルグレービアの醜聞』
第2話『バスカヴィルの犬』
第3話『ライヘンバッハ・ヒーロー』

の全6エピソード。詳しくは発売元の角川ピクチャーズのサイトまで↓
http://www.kadokawa-d.jp/lineup/sherlock/

来年放映予定のシーズン3がなんとも待ち遠しいばかりですが、
僕はそれまでにこの6エピソードをばっちりチェックし、
そして、新しいホームズのようにソーシャルツールを使いをまくって、
『SHERLOCK/シャーロック』の面白さを、どんどん友達にシェアしまくっちゃおうと思います♪
みなさんも是非「いいね!」にクリックを!

(おしまい)

*  *  *  *  *
 
【今週の"観ずに死ねるか!シネマ"】

『エネミー・オブ・アメリカ』(1998年/米)
★9/16(日) 15:30~17:44 NHK BSプレミアム

惜しくも先日、自殺というショッキングな最期を遂げた、ヒット監督:トニー・スコット。
遺作となってしまった『アンストッパブル』(2009年)でも、
お得意のスリリングなアクション&サスペンス演出が冴え、
まだまだ良質の娯楽作品を届けてくれると思っていたところでの悲しい出来事でした。
「あそこだったらハズさない」とビジネスマンに人気の定食屋さんのように、
質実剛健で良質な作品群の中から、今週はこの政治サスペンスが放映されます。
いわゆる<巻き込まれ型サスペンス>を食材にトニー・スコットがどう腕をふるったか。
追悼の意と共に、改めて味わってみようと思います。
コラムニスト:助川 仁

ビクターエンタテインメント株式会社 編成管理チーム長 兼 KOKIAディレクター

Jin Bonham名義 Twitterアカウント
http://twitter.com/jinbonham
Jin Bonham名義 映画ブログ【アンドロイドは映画館でポップコーンを食べるか?】
http://jinbonham.blog33.fc2.com/
ビクターエンタテインメント公式サイト
http://www.jvcmusic.co.jp/
担当アーティスト:KOKIA公式サイト
http://www.kokia.com/

本ページはプロモーションが含まれています。