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笑いとペーソスの影に人間の欲望を潜ませた伊丹十三作品の白眉、『タンポポ』。

2012年09月07日


一億総グルメブームを先取りし、「食」という日常のテーマを
見事にエンタメ映画に仕上げてしまった故・伊丹十三監督の最高傑作。
若き日の山崎努・渡辺謙のコンビも注目!
大滝秀治は...27年前も大滝秀治だったぞ!
そんな(どんな?)食べずに...じゃなくて観ずには死ねない一品です。

*  *  *  *  *

【観ずシネVol.37】

『タンポポ』(1985年/日/監督:伊丹十三)
★8/21(火) 21:00~23:00 NHK BSプレミアム

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デビュー作『お葬式』で、冠婚葬祭という斬新なテーマで日本の風土を斬り、
笑いの中に<生=性>と<死>という独特の"良質な<えぐ味>"をも盛り込んで
初監督とは思えない独特の映画話法を確立した伊丹十三。
その第2作がこの『タンポポ』でした。

まずいラーメン屋さんを行列のできる人気店に生まれ変わらせる。
そんな使命を背負って奮闘するトラック運転手の師弟コンビが主人公。
まるで街にはびこる悪者を退治する流れ者のような設定とストーリー展開は、
自称「ラーメン・ウエスタン」と銘打ったのもうなずける、
とてもラーメンが題材とは思えない、まさかの対決物語です(^^)

ラーメンのうんちくも盛りだくさんで、
今でこそラーメン・ブームは当たり前になりましたが、
確かこの映画の公開当時は、ここまでマニアックにラーメンをとりあげた
メジャー表現なんて、あまり見かけなかった記憶があります。
「寿司・丼・ラーメン」を取り上げれば視聴率は取れる。
そんな昨今のグルメ人気を、ある種先駆けたような映画だったのかなあ、と。

さて、この映画が更に面白いのは、
本筋のストーリーとは全く無関係の細かいエピソードが、節目々々で挿入されるところ。
本編も面白いのですが、この小エピソードのそれぞれがまた気が利いていて面白い。
この構造が上手く箸休めとしても機能していて、とても重要な役割なんです。

その小エピソードの中でも、
役所広司が演じるヤクザ風の白スーツの男が、
この映画の狂言回しの役割を演じていると同時に、
伊丹作品らしい"良質な<えぐ味>"を盛り込む重要な存在になっています。

『お葬式』では、<生=性>と<死>だったそのえぐ味。
『タンポポ』はそこに<食>の要素が加わってくる。
すなわち、<生=性>であり<生=食>であり<性=食>でもあり、
そして、<生>とは、<死>への始まり。
つまり、<食>への執着は<生=性>への執着である、と。

白スーツの男が演じるエロティックな<食>のエピソードと、その突然の<死>。
ラストカットの、母親のおっぱいをむさぼるように飲む、生まれたての赤ちゃん。

<ラーメン・ウエスタン>のヒーロー物語の中に、
巧妙にこうした"良質な<えぐ味>"を盛り込む。
単純の中に、複雑を無理なく放り込んでいく。
それを象徴するシーンです。
『タンポポ』はかくして、
様々な肩書きを持つマルチな知性派=伊丹十三の代表作となりました。

この後、大ヒットとなりパート2まで作られた『マルサの女』へと作品は続きますが、
それまでの独等の"良質な<えぐ味>"が
<生><性><死><食>という本能的な欲求に限られていたのに対し、
今度は<金>という非本能的な欲求が加わってきた、と考ると面白いですね。
逆にこの"良質な<えぐ味>"を構成する欲求を広げるために、
国税局査察官(通称「マルサ」)という職業を選んだ、とも言えると思います。

『お葬式』=<生><性><死>
『タンポポ』=<生><性><死><食>
『マルサの女』=<生><性><死><食><金>

映画というエンタテインメント表現の中で
伊丹十三はこんな風に人間の欲望を描きひろげてきた監督でした。
突然の自殺(1997年、真相は謎のまま)によって、彼はこの世を去ってしまいましたが、
描く欲望の対象に<暴力>と<宗教>が加わってきた時期と、その謎の死に
奇妙な関連性を感じてしまうのは、うがち過ぎでしょうか?

とまあ、そんな分析はともかくとして。
<食>という日常的な題材を、かくも見事に楽しいエンタテインメントに創り上げてしまった
エポックメイキングな傑作、見逃した方は是非レンタルで!
観ながら食べるお夜食は...もちろんラーメンで決まりですね♪

(おしまい)

*  *  *  *  *
 
【今週の"観ずに死ねるか!シネマ"】

『シャーロック』(2012年/英)
★9/8(土) 14:00~19:00 AXNミステリー

ミステリ好きなのですみません!今回は映画ではなく、特別にTVドラマを。
何故ならこのシリーズは、世界各国のミステリ・ファン、
そしてシャーロキアンから大絶賛の話題作なのです!
あのシャーロック・ホームズが現代に生きていたら?
現代が舞台ならではの設定や小道具の数々、原作そのものの灰色の頭脳による推理。
シーズン1の全3話を日本初放送の字幕版で一挙放映のこのチャンス、
見逃したらあなたは謎の死体になっちゃうかも!?

コラムニスト:助川 仁

ビクターエンタテインメント株式会社 編成管理チーム長 兼 KOKIAディレクター

Jin Bonham名義 Twitterアカウント
http://twitter.com/jinbonham
Jin Bonham名義 映画ブログ【アンドロイドは映画館でポップコーンを食べるか?】
http://jinbonham.blog33.fc2.com/
ビクターエンタテインメント公式サイト
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担当アーティスト:KOKIA公式サイト
http://www.kokia.com/

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