観ずに死ねるか!~今週のシネマ選~

鮮やかな幕切れ史上NO.1!『死刑台のエレベーター』を観ずに死ねるか!


2年前に邦画でリメイク(監督:緒方明/主演:吉瀬美智子、阿部寛)された時は
「あの映画史に残る名作に、何と大胆不敵な挑戦!」と、畏れおののきました。
あまりにも畏れおののいちゃったので、
これはいまだ未見です(^^;)すみません...。出来上がりはどうだったんだろ?

それくらい、本家本元は正に観ずには死ねない名作中の名作。
完璧なエンディングを含め、ヌーベルバーグを代表する1本です。

*  *  *  *  *

【観ずシネVol.26】

『死刑台のエレベーター』(1958年/仏/監督:ルイ・マル)
★4/20(金) 13:00~14:33 テレビ東京

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幕切れが鮮やかな映画は、いつまでも鮮烈な印象が残るもの。
特にサスペンス作品では、エンディングの斬れがそのまま作品の質に直結している、
と言っても過言ではないでしょう。
みなさんは、どの映画の幕切れがフェイバリットでしょうか?

個人的な幕切れベスト10を、とりあえず順不同で思いつくままに挙げてみると...
(ほんと思いつくまま。他にも挙げればきりがないですがご勘弁!)

●『サブウェイ・パニック』(1974年/監督:ジョセフ・サージェント)
●『太陽がいっぱい』(1960年/監督:ルネ・クレマン)
●『情婦』(1957年/監督:ビリー・ワイルダー)
●『シャレード』(1963年/監督:スタンリー・ドーネン)
●『刑事コロンボ/二枚のドガの絵』(1971年/監督:ハイ・アヴァーバック)※TVドラマ
●『ミッドナイト・クロス』(1981年/監督:ブライアン・デ・パルマ)
●『スティング』(1973年/監督:ジョージ・ロイ・ヒル)
●『未来世紀ブラジル』(1985年/監督:テリー・ギリアム)
●『ソードフィッシュ』(2001年/監督:ドミニク・セナ)
以上、いずれ劣らぬ切れ味の9本と...

そして栄えあるNO.1作品こそが、この『死刑台のエレベーター』なんです!

ヌーベル・バーグの巨匠:ルイ・マル監督が、若干25歳(!)で作り上げた本作。
手持ちカメラによる鮮烈なモノクロ映像美と
ジャンヌ・モローのクール・ビューティーにやられてから幾年月、
僕は何度この映画を観たか知れません。

サスペンス映画なのに、ネタバレして尚再見に耐えうる作品。
それは、この映画が持つ「儚さ」が劣化しない輝きを放っているからに他なりませんが、
やはりインパクトは最初に観た時が一番。
これから初めて観る、という方がうらやましい~!

サスペンス映画なので、筋に触れ過ぎるのはご法度ですが、
いわゆる真犯人探しのミステリではありませんので、
概要をお話するのは問題ないでしょう。

美しい社長婦人ののフロランス・カララ(ジャンヌ・モロー)は
夫の経営する会社に勤めるジュリアン・タベルニエ(モーリス・ロネ)と不倫関係にあります。
陽のあたる幸せを掴むため、二人は共謀してある計画を立てました。
それは、自殺に見せかけた、社長の偽装殺人。
計画は完璧。完全犯罪の成功は、約束されていました。ところが...。

うっとりするほど大人なカップル、ジャンヌ・モローとモーリス・ロネ。
この二人の運命の恋路に、もう一組の若いカップルのサイドストーリーが絡み、
やがてその2本の運命の糸が結びついて向かえるエンディングの見事さ。
素晴らし過ぎます。

クールな主役の二人、どんだけ大人なのよ?と調べてみると、
1958年当時、ジャンヌ・モロー30歳、モーリス・ロネ31歳。
マジか?今の僕よりひとまわり以上年下かいな...。
おフランスってやっぱススんでるのね。

この映画には大変重要な伏線があって、
この伏線こそがラストを完璧に引き立てる要素になっています。
それは、この映画を繰り返し観るに耐えうる「儚さ」の象徴にもなるのですが、
特定のトリックやシーンの伏線ではありません。

ただ、それが真相と直結する小道具と合わさって、ラストに浮かび上がる時。
ここに、幕切れ史上NO.1映画の真価もまた、浮かび上がってくるのです。
未見の方は、是非ともこの初見の醍醐味を味わっていただきたいと思います。

そうそう、音楽業界人として、これを忘れちゃいけません。
ジャズの巨星:マイルス・デイヴィスが地元フランスのミュージシャンを集め、
ラッシュを観ながら即興で録音したと言われる、超クールなサントラドラック!
名作に彩りを添える、もう一人の主役と言って良いでしょう。
さすが帝王♪ ビシッと決めてきます。

「美男美女」「モノクロ映像」「パリ」「ジャズ」「サスペンス」
かっこよさ全部入りの名作で、
我が家の生活感溢れるリビングも、クールに溢れてメルシ・ボク~。

(おしまい、改めFin)

*  *  *  *  *
 
【今週の"観ずに死ねるか!シネマ"】

『かいじゅうたちのいるところ』(2009年/米)
★4/30(月) 21:00~22:44 NHK BSプレミアム

モーリス・センダックの名作絵本を、
『マルコビッチの穴』のスパイク・ジョーンズが映画化!
やんちゃな男の子の童心と成長を描いた物語ですが
実は子供(特に男の子)を持つ親が観ると、
とてつもなく愛おしい想いが溢れてくること必至。
子育て真っ最中の大人たちに。子育てがひと段落した大人たちに。
そして、かつて子供だったすべての大人たちに観て欲しい1本です♪
コラムニスト:助川 仁

ビクターエンタテインメント株式会社 編成管理チーム長 兼 KOKIAディレクター

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