観ずに死ねるか!~今週のシネマ選~

倒産・失業時代を笑い飛ばすお茶目な夫婦漫才、『ディック&ジェーン/復讐は最高!』。


肩の凝らないコメディ映画は、リラックスタイムにはぴったり。
そんな訳で、僕も初見だったのですが、怪(快?)優:ジム・キャリーと
ティア・レオーニ(←『ジュラシック・パーク3』の彼女、良かったなあ♪)
が夫婦役でコンビを組んだ
『おかしな泥棒 ディック&ジェーン』のリメイク作品をレビューします♪

*  *  *  *  *

【観ずシネVol.25】

『ディック&ジェーン/復讐は最高!』(2005年/米/監督:ディーン・パリソット)
★4/14(土) 深夜3:15~4:50 テレビ東京

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倒産、失業、企業年金。
このご時勢、決して他人事ではないシリアスな問題ですよね。
特に、終身雇用とは無縁の100%成果主義国家=アメリカでは尚更。
重くのしかかる失業問題は解決しないまま、大統領選を迎えようとしています。

でも、映画だったらネタにしたって笑って許してもらえるかしらん?
そんな思いがあったかなかったか、
『おかしな泥棒 ディック&ジェーン』は
倒産・失業を「明日があるさ」と前向きに描いたコメディ映画です。

突然、勤め先の大企業の宣伝部長に大抜擢された、お調子者中間管理職:ディーン。
軽~いノリではあるけれど、奥さんジェーンと子供思いの明るく優しいパパなんです。
しかし、その念願の昇進のウラには、とある訳がありました。

オリンパスやら大王製紙やらAIJ投資顧問やら。
日本でも経営陣による不祥事が後を絶ちませんが、
やっぱりいるんですねえ、アメリカにもおんなじようなのが。

ここまで書いてみなさんもご想像がつくように、
多額の負債を抱えながら、粉飾決算でその場凌ぎを続けてきた会社は脆くも倒産。
昇進の夢も1日限り。生活を支えるために来る日も来る日も職探しを続けるディーン。
一方、社員同様の憂き目にあったかに見えた元社長は実は...!

『ディック&ジェーン/復讐は最高!』というタイトル通り、
ここからは荒唐無稽なコメディ映画まっしぐら。
ジム・キャリーの見ているだけで可笑しい仕草が笑いを誘っていきます。

さて、僕がこの映画を観ていて「何だかいいなあ」と思ったふたつのポイント。

ひとつめのポイントは奥さんジェーンのキャラクター。
美人なんだけどツンとしてなくて、どこかおっちょこちょい。
特に、夫が失業しても決して怒ったり責めたりするのではなく、
一緒になって「どうしよう」と悩んでくれる。そこがいい。
夫倡婦随の挙句の果てには、何とドロボー稼業の片棒まで担いでくれる。

まあ、ドロボーさんになるのは実生活ではさすがにマズいですが(^^;)、
「苦楽を共にする」という言葉通り、
嬉しい時は一緒に嬉しがる。悲しい時は一緒に悲しむ。苦しい時は一緒に苦労する。
夫婦円満の一番の秘訣を、ジム・キャリーとティア・レオーニの「夫婦漫才」は
改めてほっこりと感じさせてくれるのです。

もうひとつのポイントは、物語の決着のつけかた。
悪徳社長をどう懲らしめるか?がクライマックスになっていくのですが、
その落としどころが実にいい感じ、粋(いき)なんです。
『ディック&ジェーン/復讐は最高!』のタイトルに偽りなし。
悪しきは滅びるのが勧善懲悪のお約束ですが、
こういう後味の良い懲らしめ方は、初めて観ました。
映画トータルとしては大傑作!と呼ぶほどの出来栄えではないかもしれません。
でも、この決着のつけかただけは、「100点満点」だと断言しましょう。

倒産・失業・企業年金。今日的なモチーフがいっぱいのハローワーク・コメディ。
お休みの日に、ビールとポップコーンをお供に楽しむにはぴったりの
ウェルメイドなエンタメ映画なのではないでしょうか。

ところで。本作を撮ったディーン・バリソット監督と言えば、
「何か面白い映画ない?」と訊かれると僕が必ずお薦めし、
100%全員から「すっごい面白かった!」と言われる百発百中・正真正銘の大傑作、
『ギャラクシー・クエスト』も手掛けています。
笑えて・ぐっときて・元気が出る、3拍子揃ったエンタメ映画のホームラン王。
未見の方は、是非こちらも併せてどうぞ♪

(おしまい)

*  *  *  *  *
 
【今週の"観ずに死ねるか!シネマ"】

『死刑台のエレベーター』(1957年/仏)
★4/20(金) 13:00~14:33 テレビ東京

出た!映画史上に残る犯罪サスペンス映画の大傑作!
『太陽がいっぱい』とこの『死刑台のエレベーター』は、
儚さ・かっこよさ・幕切れの鮮やかさの2台巨頭。
「フランス映画って苦手~」
そんな人こそ、死んでもこの2本を観るべし。コマン・タレ・ヴ~?
コラムニスト:助川 仁

ビクターエンタテインメント株式会社 編成管理チーム長 兼 KOKIAディレクター

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