スポーツ科学でみる

アスリートになるための13歳~16歳の過ごし方

いま開催されている春のセンバツ高校野球関連の
ニュースで私が特に気になったのは3月23日の
産経新聞の記事
"「ダルビッシュ2世」投手はなぜ増えた?」"

記事の中で、ダルビッシュ投手の高校在学当時の
監督、若生氏は
「成長痛が止まるまで、ストレッチやウォーキング
ばかりさせていた。有(ダルビッシュ)は高校で
終わる選手ではないので、故障には気を使った」
とコメントしています。

成長痛が残っていたであろう、入学当初は監督
自ら練習を休ませていたようです。

●ケガをしやすく不器用になる時期

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やさしい生理学改定第5版 p158から抜粋

これはスキャモンの発達曲線というグラフ。

身体内部の各器官の発達を
・神経型...脳の発達
・一般型...筋肉や骨の発達
・生殖型...ホルモン分泌
・リンパ型...免疫能力
の4つに分け、20歳のレベルを100%とした時の
割合を表したもの。
このグラフから発達と運動の関係を見てみます。

●高校入学前後は不器用になりやすい
13~16歳辺りを見てみると、一般型=筋肉や骨が
発達し、急激に体が大きくなるのがわかります。

筋肉を動かすためには、筋肉を動かそうとする脳の
発達も必要。ところが脳の発達は、12歳前後で
100%になってしまう。
体の大きさを脳が再認識できるようになるまで、
時間がかかります。

これがクラムジー(climsy)。
不器用な、ぎこちないという意味で、急激な成長を
脳が認識できないのが原因で、一時的に動きが
ぎこちなくなり、滑らかな動きが出来なくなる事を
こう言います。

●身長が伸びている間は要注意
急激に身長が伸びている間は、
関節が不安定になり、ケガもしやすい時期。
筋肉や腱が常に引っ張られているので硬くなり、
関節の可動域も減少します。

ケガをしやすい時期に練習量を増やすと
どうなるでしょう。当たり前ですがケガをします。

ケガをしないとしても、無理して筋肉や腱を使う
ことになるので、関節が硬くなり、動きが更に
ぎこちなくなります。

成長痛が起こっている間は、関節の可動域が
減らないようにストレッチをして、筋肉を休め、
痛みが出ないウォーキングなどの軽い運動で
持久力の維持に努めるのがベスト。

若生監督の指導は理にかなっています。

●動きはすぐ戻る
自転車に一度乗れたら、何年か経ってもすぐに
乗れるのと同じように、一度脳にインプットされた
動きを取り戻すのは比較的簡単にできます。

成長が落ち着けばまた元の動きができるように
なるので、13~16歳辺りで前に出来ていた
動きができなくなったら練習を減らしてください。


高身長の選手ほど成長期は成長痛に悩まされ、
無理をし、潰れやすいのですが、それでも活躍する
選手が増えてきたということは、成長を理解して、
長い目で選手を育てられる指導者が増えてきた証拠。

第二のダルビッシュではなく、
ダルビッシュを越える逸材が出て来る日も
近いのかもしれません。


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コラムニスト:柴田 明

フィジカルトレーナー

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