スポーツ科学でみる

5000mでマラソンのタイムを予想する方法


今週末は東京マラソン。今度こそ自己ベスト更新!
と意気込んでいる人も多いと思います。これが難しい。
ペースが速過ぎると途中で脚が止まってしまう。
かと言って、疲れないように遅く走っても、タイムが出ない。

ちょうどいいペースで走り続けることが自己ベスト更新の秘訣。
ちょうどいいペースは5000mの記録から推測できます。


疲れの元にもエネルギーにもなる「乳酸」
疲れる原因の一つは「乳酸」。
乳酸は筋肉に留まると疲れの元になりますが、
酸素と結合すればエネルギー源として再利用されて、
無くなります。

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(山地啓司「運動処方のための心拍数の科学」から抜粋)
図の横軸を見ると乳酸はスピードに比例して上がっているのがわかります。
そして「OBLA」から急激に乳酸濃度が高まっているのもわかります。

体が一定時間に酸素を取り込める量には限界がある。
乳酸値が急上昇すると、酸素と結合できない乳酸が体内に余り、
余った乳酸が疲れを引き起こす。

理論上OBLAちょうどのスピードが疲れ過ぎず、楽過ぎない、
ぎりぎりのスピードです。


正確なOBLA測定法
乳酸濃度が4mmol/Lを超えた点がOBLA。
徐々にスピードを上げて走りながら血液を取り、乳酸を測って
4mmol/Lになった時点の速度がOBLAのスピード。

この測定は正確ですが、走りながら血液を取り、更に乳酸を
測定することは簡単にできないので、推測する方法を御紹介します。


◎5000mの平均速度を100%とした時のほぼ92.5%の速度がOBLA
これで計算された速度を時間に置きかえて表にまとめました。 
(参考:男子長距離ランナーのOBLAスピード推定簡便法
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5000mベストタイムから1000mのOBLAタイムを推測。
おおよそのマラソン距離、42kmをかけた数値が予測タイムです。

5000mのベストタイムが20分の場合、1000mの平均は240秒(4分)。
92.5%で割ると約259秒(4分19秒)。
42kmで181.6分。約3時間2分でマラソンを走り切れる計算になります。


ベストタイムを狙うなら
OBLAペース+5~10%程度までスピードを上げると、
30分前後で走れなくなると言われています。

ですがゴール地点で余力を残しておく必要はありません。
最後の30分はペースを上げてもゴールにたどりつける。
ラスト30分、一段ギアを上げてスピードを上げれば、
予測タイム以上の結果が期待できます。


マラソンは5kmのラップタイムを目安に
1km単位で見ると極端な上り、下りが入ってペースが
バラバラになるので設定タイム通り走れているかわかり辛い。

ですが5km上りっぱなし、下りっぱなしというコースは
滅多にありません。
5km単位で見れば登りも下りもだいたい同じになるので、
ペースコントロールには5kmのタイムが適しています。


あとは当日のコンディション
そもそもレース当日、5000mでベストタイムを出した時と
同じ体調でないとこの設定タイムは無意味になります。

また天候も同じ条件でなければいけませんが、
天気ばかりはどうしようもありません。

レース前は体調管理をしっかりする。(天気が良くなることを願う。)
レース中は5kmのOBLAタイムを刻みながら、乳酸を溜め過ぎない。
最後の30分はペースアップして疲労困憊になるまでプッシュする。
これが自己ベスト更新の秘訣です。
コラムニスト:柴田 明

フィジカルトレーナー

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