スポーツ科学でみる

ダルビッシュと同じトレーニングで150km出せるようになるか


プロ野球のピッチャーより筋肉があるボディビルダーが150km/hの球を投げることはできないでしょう。

だから筋肉を増やしても球速は上がらない。
ピッチャーが筋肉をつけるのは無駄とさえ言われます。
なのに、ダルビッシュ投手は今年のオフ筋肉を増やしているとコメントしていました。
筋肉をつけることはピッチャーにとって本当に意味がないのでしょうか。

こんな実験があります
(1) 大学野球選手
(2) 定期的に野球練習を行なっていない一般成人=草野球選手
を対象に、筋肉の量、筋力、動作パワーのどれが球速に関係しているか調べたものです。
野球選手における筋形態および筋機能からみた投球速度の決定要因,勝亦陽一,早稲田大学スポーツ科学研究科, 2006年度

確かに筋肉を増やしても球速は上がりません
草野球選手は、筋肉量、筋力は球速と相関せず、動作パワーだけが球速と相関しました。
草野球レベルだと、筋肉が多いからと言って筋力が強いわけではなく、球速が速いわけでもありません。
動作パワーという投げる動作そのものが強い人ほど球速が速い。筋肉があっても投げる動作が下手な人が多いと考えられます。

上手ければ筋肉が多い方が速く投げられます
大学野球選手は筋肉量、筋力、動作パワー全てが球速と相関しました。
筋肉量が多い選手が、力も強く、動作パワーも強く、急速も速い。投げる動作が上手いので筋肉をうまく使えていると考えられます。
大学野球選手より上手いプロ野球選手が筋肉をつければ、球速を上げられるでしょう。

草野球選手が球速を上げるには「投げる練習」が重要です
投げるフォームを覚えるために相当量の練習をこなすことで、下半身も含めた全身の筋肉がうまく連動して得られたパワーを効率よくボールに伝えられて球速がUPします。
フォームが完成していない選手がダルビッシュ投手のように、筋肉を増やすトレーニングをしても球速は上がらないでしょう。

反対にプロ野球選手のように、投げるフォームが完成している選手であれば筋肉をつける事が球速UPの近道だと考えられます。
プロ野球選手はオフの野球の練習に時間を割く事が少ない自主トレ期間に、集中的に筋肉をつけるトレーニングをすることで球速UPを狙っている人も多いです。

ダルビッシュ投手の筋肉を増やすというコメントは、今の球速に満足していないという証拠。今シーズンの球速にも注目しましょう。
コラムニスト:柴田 明

フィジカルトレーナー

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