食の色香をほんのりと

長いものにまかれる


"痩す痩すも 生けらばあらむを はたやはた 鰻(むなぎ)を取ると 川に流るな"
(万葉集(巻十六)大伴家持)

万葉の頃から夏の滋養として親しまれていた鰻。「むなぎ」とは「鰻」のことで、成長した天然の鰻の胸部分は黄色みがかっていることから、胸が黄色い「胸(むな)黄(ぎ)」とついたとか。諸説あるものの実際にウナギを手にとって見てみると、養殖のウナギは黄色というよりも白色。養殖より長い時間をかけてじっくり成長する天然ウナギの特徴のようです。

今週7月27日(金)は夏の土用丑。
私は何を間違えたか、先週金曜日を夏の土用丑と思い込み、既にう鍋や鰻丼などを食べてしまいましたが、夏は鰻だけにとどまらず、鱧(ハモ)や穴子(アナゴ)、泥鰌(ドジョウ)など長いものが美味しい季節です。梅雨の水を飲んで美味しくなるとも言われる鱧、煮ても焼いても揚げても、そして骨からも美味しい出汁のでる穴子、そして髭面についくすっとしてしまう泥鰌も夏の食材として親しまれてきました。

今年は鰻丼のほか、冷たいものをとりがちな夏なのでう鍋にしておなかにじんわり。

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「食む」がその名の由来という説もあるほど鋭利な歯が特徴の鱧。
するどい眼差しもその性格を現しているように見えてきます。

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らしい眼と、「ハカリメ」という呼び名の由縁にもなっている白い点列が特徴の穴子。かわいい。
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今回は色々な長くて美味しいものの中から、イタリア風の鰻料理「鰻のマリネ」をご紹介いたします。イタリアでは日本よりやや大きめのウナギを使ったマリネはクリスマスのご馳走にもなっており、その時期のスーパーなどではウナギのマリネを買うこともできるようです。

(作り方)
①ウナギを3~4cmほどに切り、白ワインをまわしがけ、余分な白ワインは捨てる。
②①のウナギにエクストラヴァージンオリーブオイル・塩・胡椒をまぶし、ローレルの葉をのせ、180℃に温めたオーブンで45分ほど焼く。
③白ワインビネガー・ローズマリー・スライス切りのにんにく・塩・胡椒、もしあれば白バルサミコ少々を入れて、一煮立ちさせ、粗熱が取れたら、千切りにしたエシャロットを入れ、さらに②のウナギをざくっとあえ、しばらく休ませる。
④ズッキーニとパプリカを粗めの細切りにし、エクストラヴァージンオリーブオイル・にんにく・塩・胡椒でソテーする。
⑤③のウナギに④の野菜を添えたら出来上りです。
白ワインにあうひとしなです。

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コラムニスト:奥田 ここ

奥田ここ料理教室主宰

奥田ここ Twitter ID:http://twitter.com/KokoOkuda
コンタクト先:kokookuda.info@gmail.com
奥田ここBlog 「馳走」:http://chisou.typepad.jp/

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