オトナ女子的海外テレビ偏愛論★

好きなアイドル狙い撃ち!~「アメリカン・アイドル」に見るスター誕生と大統領選【後編】


以前「Glee Project」のコラムでも触れたのですが、
この「アメリカン・アイドル」、個人的には、番組のあり方が
とってもアメリカ大統領選を彷彿させられます。 

特徴としては、その構成。

①なんといっても視聴者完全参加。
地方予選(10万人の参加者)の録画放送から、
本選(13人の候補者)の生放送番組に入ると一般視聴者誰もが
電話とインターネットでオーディションに参戦できるようになります。

⇒ 一人の投票数に制限がないので、2時間という制限時間内に
できるだけ投票するという自分の頑張りが、お気に入りファイナリストの投票率に
相当反映されることになります。この自負がたまらなく視聴者のライブ感・共感、
アーティストへのロイヤリティを仰いでるものと思われます。

②とにかく地元コミュニティ全方位で囲込み。
ファイナリストに残った12人はとにかく地元の大スターとなる。
本人の意向などおかまいなしで、お役所が勝手に「Vote Phillip!」と地元民に呼びかけたり、
街の公式標識に「Welcome to Scotty McCreery's Hometown Garner」など、
いたるところで宣伝合戦開始し、とにかく地域の結束力が異様なまでに高くなるのです。

⇒ 特にTOP4まで残ったファイナリストは地元に一度帰り、
その模様が大々的に放送されます。そういった映像が放送される度、
アメリカ人ですら知らないような小さな街の知名度が急速に右上がりになり、
地域のレピュテーション上昇&経済が活性化するという、
実際の政治よりもよっぽど効果的なんじゃないかと思われる
地域社会・政治・経済への大きな貢献が見られるのです。

③社会貢献活動も忘れずに。
"アイドル・ギブズ・バック"というアメリカン・アイドル参加者(歴代の参加者)・
司会者・審査員がそれぞれ慈善活動に関わり実践することが
番組のポリシーになっていて、その活動報告がスポットで放送されています。
また、番組終了後のファイナリストTOP10によるサマー・ツアーのチケット代の一部が
慈善団体に寄付される仕組みになっていたりします。

⇒ 2011年シーズン10の東日本大震災直後の放送で、
番組終了後にダウンロードされた楽曲の収益はすべて震災支援活動に
寄付するというコメントがなされたのが、印象的でした。
寄付文化が根付くアメリカ人にとっても昨今のチャリティー活動が
商業的過ぎると揶揄されることもあるのですが、番組を通して視聴者に
社会貢献への意識を振り返る機会を与える様は非常に絶妙です。


上述の番組構成を、ものすごく基礎レベル、且つ私の思いつきで比較してみると、

アメリカン・アイドル優勝を目指す挑戦者 = 大統領を目指す政治家
番組の視聴者              = 投票権をもつ国民
挑戦者たちのパフォーマンス       = 政治家たちのプレゼンテーション
コミュニティーの囲い込み        = 地元の有権者の囲い込み・遊説活動
社会貢献活動              = 政治家の活動としては必須事項

と捉えることが可能のように、「アメリカン・アイドル」という番組の中に
大統領やら州知事選など選挙活動の要素がちりばめられていると強く感じます。
ファイナリストが地元に帰って凱旋ライブや母校訪問するアイドル達に
熱狂する地元ファンの姿は、大統領選やら州知事選の遊説活動で
彼らのプレゼンやふれあいを体験し高揚した地元民の状態と同じように
思えてならないのです。

そして優勝したとたん、アイドルは地元の英雄且つ大スターになるのです。
CDや音楽ダウンロードが売れれば地元を飛び出して
タイトルどおり「アメリカン・アイドル」なわけです。
国民的アイドルになれば、地元地域の政治的・経済的影響力は
相当変化を遂げるはずです。アメリカン・アイドルから誕生したスターは、
レコード会社などのプロがスカウトして選ばれたアーティストとは違い、
政治的・社会的な役割をも果たすのです。
昨年優勝したノースカロライナ州ガーナー出身の
スコッティー・マクリアリー青年(18歳)は、ガーナー地区の
公式ホームページにバナーつきで紹介され、お役所ニュースにも登場する次第です。
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Scotty McCreery Information
http://www.garnernc.gov/ScottyMcCreery.aspx
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アメリカ人にとってキラキラしたアイドルも、大統領も
"スター"であるのは間違いないと思います。
アメリカという国に住む多くの人々は、必要とするスターを自分達で選び、
その夢に共に乗っかることで、自分の生活環境をより良くするという活動に
強い関心を持つのだと、この番組を見るたびに思わされます。

アメリカ大統領選はアメリカ国民がアメリカという国で生活していくための必須事項。
それゆえ国民に根付いた感覚・習慣が匠に仕込まれた番組構成を保つ
「アメリカン・アイドル」が、10年以上も続き、他の人気オーディション番組や
ドラマを押しのけて2011年時点でも全米テレビ番組広告収入トップ1に君臨するほど、
人気があるのも納得です。

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1位 : 「American Idol」 664万ドル
2位 : 「The X Factor」 555万ドル
3位 : 「Two and a Half Men」324万ドル
4位 : 「Glee」 283万ドル
5位 : 「Grey's Anatomy」 275万ドル
6位 : 「Dancing with the Stars」 272万ドル
7位 : 「Desperate Housewives」 261万ドル
8位 : 「The Big Bang Theory」 257万ドル
9位 : 「Mad Love」 249万ドル
10位 :「Modern Family」 213万ドル

Forbes' list of TV's Top 10 Moneymakers of 2011
http://www.forbes.com/sites/dorothypomerantz/2012/04/10/tvs-biggest-moneymakers-2/
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こんな風に独断と偏見でエンタテインメント・ビジネスと
アメリカの政治・経済戦略を勝手に結びつけながら、
投票権もないのに気合を入れて日本のお茶の間で
マイ・アイドルの勝ち残りを祈るの今日この頃です。
コラムニスト:岡崎 早苗

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