ニュース/取材

真冬だからこそ、かき氷


列島全体が厳しい寒波に見舞われ、寒い日々が続いてますが、
皆様いかがお過ごしでしょうか?


こういう時は熱い鍋焼きうどんとかおでんを、
ハフハフ言いながら食べて暖まるのが一番。
というわけで是非ともそういう「暖かいお店」を紹介したいと
アンテナを張っていたのですが、そこに飛び込んで来たのが
1/28(土)の日本テレビ『ぶらり途中下車の旅』で紹介されていた
かき氷の専門店「三日月氷菓店」。

前フリとまったく逆の行動じゃねーか!!と自分自身に突っ込みを入れましたが、
気になったものは仕方ありません。で、さっそくお邪魔することにしました。


JR柏駅から歩くこと3分。表通りからちょっと路地を入ったところにありました。

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「シックな店内」

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店主の池田さん。




かき氷専門店を始めた理由は少年時代まで遡るそうです。
原点はやはり夏のかき氷屋さん。
夏の暑い盛りに、いろいろな人が集まってかき氷を楽しむ、
という店の雰囲気に魅せられた池田少年は、
いつしか自分もそういうくつろぎの場を作りたいという
気持ちを持つようになったそうです。
そして一念発起して全国のかき氷屋さんを食べ歩いて研究し、
ついにかき氷専門店を開店したとのことでした。


素材となる氷は、全国に5店しかない天然氷の専門製造元の一つである
日光の三ツ星氷室から仕入れているそうです。
天然の氷は当然冬場にしか出来ません。つまり天然氷の旬は冬なんです!


さっそく、旬のかき氷をいただくことにしました。
氷かき機は電動ですが、夏と冬で削り方を変えるなど、
文字通りキメの細かいつくり方をしているそうです。


「同じ氷でも採れる場所(池の中央部か縁に近い部分か)によって、
性質が変わってくるのが天然氷の難しいところなんです。
最後の最後まで融けてしまわずにかき氷として
味わってもらえるよう削り方を工夫しました。」と池田さん。


ふっくらとしたかき氷がみるみるうちに盛り上がって行きます。
ああ、この物体を一面に分厚く敷き詰めてそこに思いっきりダイブしてみたい!!
と思わせてくれるような、暖かみすら感じるフワフワ感です。

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シロップも自家製。柏の農家から直接仕入れているそうです。
自分が納得したものでないとお客様に提供したくないという信条故に、
材料もなるべく自分の足で探し歩き、生産者の方々と
緊密なコミュニケーションを取りながら仕入れているとのことでした。

ちなみにもう一つの「顔」であるレモンシロップは
国内では一番とされる広島県から、
またかき氷の中に入っているアイスクリームは
茂原の製造元から仕入れているそうです。


いよいよ、かき氷登場。


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一口含むと、氷の存在感をしっかりと残しながら、
さらりと消えて行く不思議な食感。不思議に冷たさを感じません。
もちろんあのアタマが「キーン」と痛む感じなんかみじんもありません。
口の中を雲が漂うとでも言ったらよいのでしょうか。


いちごシロップはクドくない甘さと酸味ながら、存在感はしっかりあります。
ミルクの味を濃厚に残した練乳も見事。
最後に現れるアイスクリームもさっぱりとした口当たりと口溶けで
ミルクの味が引き立っていました。
素材以上に素材を感じさせてくれる、逸品と呼ぶにふさわしい味わいでした。


次にお邪魔したのは、谷中ぎんざにあるひみつ堂さん。

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ご店主は、かき氷の専門店を始める前は
歌舞伎役者として舞台に立っていたという異色の経歴の持ち主。

「かき氷って、食べる人の顔が輝くものだと思うんです。
その輝きがみたくてやっているようなもんです」とはご店主の弁。

「歌舞伎もかき氷も人を喜ばすことに変わりはない。
歌舞伎の師匠が人を喜ばすことに関しては、型にとらわれない方だったので、
かき氷は夏のものという型を崩したかった」とも仰っていました。
その自由闊達さを端的に表すのが、シロップの豊富さ。
全部で130種類ほどもあるんですよ!!
今の季節なら超定番のいちごの他に、
さつまいもやかぼちゃなども提供しているそうです。

「季節季節の素材を活かすことを心がけていったら自然と増えて行った」
なるほど、既成のイメージにとらわれていませんね。


こちらのお店でもいただいたのはいちご。
三日月氷菓店さんと同じ三ツ星氷室さんの天然氷を使用。
氷つながりで三日月氷菓店のご店主とも交流があるとのことでした。


このお店は昔懐かしい感じのする手回しの氷かき機を使っていました。
やはり、氷の状態を見極めて、最適の口当たりになるよう刃を調整しているそうです。


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こちらのお店も、綿毛のようなフワフワとした氷が見る間に積み上がっていきます。
器の中程まで積み上がったところで、一旦自家製糖蜜で「下味」をつけます。
あとはこんもりともりあがるまで、一気に氷をかきます。
そして自家製の練乳をまんべんなく振りかけた後に大量のシロップ投下。
トドメに生のイチゴを乗っけて完成。


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いちごの濃厚な味がまず最初に口に広がり、
その後やはり濃厚な練乳の味が攻めて来て、
最後に程よい甘さの糖蜜が全体を引き締める。
この三者のハーモニーは見事。
もちろん氷の口当たり、口溶けも極上。
確かにこのかき氷なら自然と顔がほころんじゃいますよ。


最後にお邪魔したのは調布の仙川にあるカフェ・ヴァニエールさん。

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まずはこのお店のかき氷を見ていただきましょう。

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明らかに他のお店とは違っているのがわかっていただけたと思います。
それもそのはず、このお店のかき氷はフランス料理で魚と肉の間に出される
「グラニテ」という、いわば箸休めの手法を用いて作られているんです。

今までのかき氷を白飯の上に何かを乗せた「丼もの」とするなら、
この店のものは「炊き込みご飯」。
つまりあらかじめ味を付けておいた氷を削ったものなんです。
いや、削るというよりは細かく砕いてあると言った方が近い気がしますね。


ご店主はもともとフランス料理の修業を積み、
その後にケーキ作りに転じたそうです。
このお店もかき氷専門店ということで始めた訳ではなく、
あくまでメニューのバリエーションの一つとして
夏場限定で提供していたそうなのですが、
ご近所にかき氷好きの方々の「クラブ」があり、
そのメンバーの方々が度々お店に訪れて、
夏場だけではなく、冬場も提供して欲しいと要望したことから、
真冬のかき氷が実現したという訳です。


味もお客様からリクエストされて作ることが多いんだとか。
当日はやはりお客様のリクエストを受けて開発したという
くるみ味のかき氷をいただきました。
ゆでて油抜きしたくるみを一度炒ってからすりつぶし、
ミルクや砂糖等を加えて凍らせ、
それを砕いたものにフルーツをトッピングしてあります。


さらりと融けて行く感じではありませんでしたが、
その分くるみの甘さを十分に味わうことが出来ました。
くるみをたっぷり使ったケーキを冷たくして食べているというのが
一番近い感覚でしょうか。
いままでのかき氷というものの概念を完全に覆してくれた一品でした。


このお店はお客様に必ずお土産としてお手製の小さなお菓子をプレゼントし、
ご天主が見送ってくれます。こういう心遣いがリピーターを増やすのでしょう。
私がお邪魔している間だけでも、顔なじみの常連さんが3組くらい入店されていました。


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今回は3店取材しましたが、
見事に「かき氷は暑い季節のもの」という固定観念を崩壊させてくれました。
冬のかき氷も乙なものですよ。


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三日月氷菓店

千葉県柏市柏1-5-5  谷澤ビル2F
 
定休日 : 火曜日
時間 : 11時-18時
TEL:047-162-3404
http://mikazukihyouka.web.fc2.com/


ひみつ堂

東京都台東区谷中3-11-18
定休日:月曜日、火曜日
時間:2012年1~3月は11:00~18:00
TEL:03-3824-4132
http://omodakaya.exblog.jp/


CAFE VANNIER
東京都調布市仙川町1-16-27 新川ビル2F
定休日:火曜日
時間:昼頃~19:00
TEL:非公開
http://twitter.com/#!/cafe_vannier
(当日の営業時間はツイッターをご確認ください)


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取材:江良与一
コラムニスト:ニュース/取材編集者

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