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工夫と技術を積み重ねた27層~究極のデニッシュ食パン~


9/17の日本テレビ、「ぶらり途中下車の旅」で紹介されたのが
天王洲アイル駅近くにあるパン屋さんMIYABIの品川工場。

毎週火・木・土は究極の食パンと呼ばれている
デニッシュ食パンの焼き立てが試食できるということで
9/24(土)に取材にお邪魔してきました。

東京モノレールの天王洲アイル駅から歩くこと5分。
海からの風は磯の香りを運んで来ていましたが
工場近くの交差点に立った途端、
パンの焼ける香ばしい匂いが、潮風の香りを圧倒。
香りに従って進んで行ったら、すぐに見つかりました。

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店の前には行列は出来ていませんでしたが、店内は満員。
噂の焼き立てデニッシュ食パンは「飛ぶような売れ行き」という形容そのままに
見事に次々と売れて行きます。
そしてまた、地元の方々への利益還元ということで
3個200円というサービス価格で提供している菓子パンもあっという間に品切れ。

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私事ながら、我が家の女房から「絶対に一個手に入れてくるように」と
厳命をうけていた私は、取材の前にまず、お客様の反応のウォッチも兼ねて
列に並びました。
お店の方が、並んでいるお客様に「焼き立てを味わってみてください」と
手で裂いた小片を渡して行きます。

焼き立てはやわらかすぎて包丁などではカットできないので
裂いて提供するしかないそうです。
私も客の一人として試食。
外側の皮の部分はカリッと香ばしく、中の白い部分はフワフワかつモチモチ。
噛み締めているうちに自然な甘さと、脂肪分の旨味が口一杯に広がります。
これはもう一種の快楽でした。

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12時前からお客様がひっきりなしだったので
店舗の責任者である営業部長の宇田さんも接客で手一杯。
で、お話を伺えたのは13時過ぎ。

このデニッシュ食パンは元々京都で製造されていたもの。
MIYABIというパン工房の社長(現在は引退)が
「クロワッサンのような食パンが作れないだろうか」というコンセプトで開発したそうです。

製品の特性故、最初は3斤1200円という売り方しか出来なかったそうです。
「パンは生き物。切ってしまったらそこからせっかく閉じ込めた旨味が逃げてしまう」
とのことで、焼いたままの状態を維持しながら売るにはそうするしかなかったそうなのですが
3斤という量の多さと値段の高さで最初はなかなか手に取ってもらえなかったそうです。

「銀座の博品館に置いてはもらったんだけど、全然売れないから
クラブのホステスたちに金を渡してわざわざ買いに行ってもらった(苦笑)」
などということもあったそうです。
こうした努力は徐々に実を結び、口コミでその美味さが広がって行き
現在では60を越す店舗で売っているそうです。

しかし、意外なことにこれ以上販路を広げることに関しては消極的なお考えでした。
理由は「これ以上増やすと品質の保持が難しくなるから」とのことでした。

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デニッシュの手法はパン生地の間にマーガリンを挟み込み
その生地を引き延ばしては折り畳むということを繰り返し、何層も重ねることで
マーガリンをパン全体に行き渡らせるというものなのですが
マーガリンの温度とパン生地の温度がぴったり一致していないと
マーガリンがうまく行き渡らず、ムラのある出来になってしまうとのことでした。

MIYABIのパン生地は27つも層をなしているそうです。
機械ではこの工程を完璧にはこなしきれないそうで
熟練した職人の腕によってようやく完成させられるということでした。

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↑デニッシュ食パンを作るのに一番重要な「層」作りの機械

調子に乗って広く展開した途端、味が落ちて売り上げも激減なんて話はよく聞きますね。
今の味の水準をしっかり守ることこそが事業を継続していく上で何よりも大切だ、
という考え方はすべての商売に通じる考え方だと思います。

結果として15年ほどの間、MIYABIの食パンは安定した売上を誇り
今ではデニッシュ食パンは食パンの一種ではなく
「デニッシュ食パン」という一つのカテゴリーを確立したと
業界内でも認められているそうです。
現在の目標は「コメに取って代わって主食の地位を獲得すること」という壮大なものです。

メインのプレーンの他にチョコレートとオレンジの2種類があります。
チョコはお菓子感覚で食べられるのでお子様に人気があるそうです。
オレンジはある同業他社の開発担当者が「このパンは美味いね」と
わざわざ言いに来たという逸品中の逸品。
以前工場に勤めていたケーキ職人さんが考案した手法で作られているそうで
宇田さん曰く「普通のパン屋さんではまず思いつかないし
思いついても決して実現できない手法ですよ」とのこと。

その他、全部は食べきれないけどちょっとだけ味をみてみたい、
という方向けの小型サイズのキューブデニッシュもラインアップ、
またデニッシュ食パンを用いたラスクがこれまた好評を博しているそうです。

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最後に、宇田さんがデニッシュ食パンを最後までおいしく食べ切る裏技を教えてくれました。
3センチほどの厚さに切ってラップにくるんで冷凍してしまう、というのがその裏技。
先ほども書いた通り、デニッシュ食パンは一度切ってしまうと
水分とともに旨味まで飛んでしまうので、いかに水分を閉じ込めるかがポイントになります。
ラップでくるんで冷凍してしまうのが一番水分が損なわれない方法というわけです。
「レンジで解凍して温めれば焼き立てのフワフワ感が復活するし、
一度解凍したものをトーストすれば、カリッとした食感が楽しめますよ」とは宇田さんの言。
是非ともお試しあれ。

でもなんといっても一番のオススメは、焼き立てを食べられる日に品川工場に行って
その場で食べることです。至福の瞬間を味わいに是非品川工場へ足をお運びください。

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MIYABI 品川工場
東京都品川区東品川1-32-15
TEL 03-5479-8171
営業時間 10:00~18:00 [平日]
         10:00~17:00 [土・日・祝日]
定休日 年末年始
ホームページはこちら

取材:江良与一

(「ぶらり途中下車の旅」で紹介されたMIYABI 品川工場のデニッシュパン)

コラムニスト:ニュース/取材編集者

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