子どものコトバ
2013年03月11日
前回、面倒くさいことの中に美味しさとか美しさが宿ると書いたわたしだが
(実際これはわたしの信条でもある)、
日々の生活の中ではちょこちょこ敬遠している手間もある。
6歳になったばかりの長男とテレビを観ていたら天ぷらが出てきた。
そういえば天ぷら、家で作ってないなあ...と思い、
ケイタ、天ぷら好き?と聞くと、好き、と言う。
そうか、外では食べる機会はあるし、子どもって天ぷら好きだよね...と、
自分の子どもの頃を思い出した。
タネは鍋の端からそっといれるとか、イカははねやすいから注意とか、
串がすーっと入れば火が通ってるから出してとか...
天ぷらのお手伝いは楽しかった。
串がスーッと入るという感じが分からず、全部一口ずつかじって確認して、
後から怒られやしないかとドキドキしていたことを思い出す。
「そっか、ママのママは天ぷらも上手く作ってくれてたんだけど、
ママはまだ上手く作れないから天ぷら作ってあげられてないんだ、ごめんね」と
つい言い訳した。
ホントは時間や手間がかかるとの思いから敬遠しているだけだった。
その自覚があるから、よけいに申し訳ない。
すると息子、「そんなこと言わないで、ママ。
ママは、ママのママが作れなかったものもいっぱい作れてるじゃん」。
...ママのママが作れなかったもの、なんてわかってないだろうに...
そんなこと言ってくれちゃうと、またママ泣いちゃうよ...
子どもにとってはママを励ますための会話のキャッチボールに過ぎなかったのだろうけど、
その言葉があまりにあったかくて、思わず返事に詰まってしまう。
子どもは優しい気持ちを言葉にする。
いろいろ考えてこねくり回しているわけじゃない分、
その言葉はストレートに胸にしみる。
わたしはこんな優しい言葉をかけてあげられているかな... 。
「今度天ぷら作るよ」と言うと「いいよママ、天ぷら作らなくても」との返事。
思わずぎゅーしようと言って抱きしめた。
コラムニスト:丸山 エミ
マルコムラボ 代表
丸山エミのAbfab Days
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