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食料廃棄の多い国と比較して「日本は飽食ではない」と言う記事に関して

2013年01月30日


農林水産省主催の食品ロス削減シンポジウムが開催されます。
3月5日に東京・新橋で、3月8日に大阪・梅田で、両日とも午後からのプログラムです。
参加費無料、公開、カメラでの撮影もOKです。
私も登壇し、「フードバンク活動について」と題して講演させて頂きます。

http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kankyoi/130118.html

食料廃棄と食品ロスについては、世界各国で社会的課題となっています。
世界のいくつかの国について、動きをまとめてみます。

以下

<世界>
国際連合食料農業機関(FAO)
2011年に「世界の食料ロスと食料廃棄」に関する調査研究報告書を発表。世界の生産量のうち、3分の1にあたる13億トンの食料が毎年廃棄されていることが判明。年間一人あたりの食品ロスは、北米115kg、ヨーロッパ95kg、南・東南アジア11kg、(農林水産省統計部の食品ロス統計調査によれば)日本は15kg。

経済協力開発機構(OECD)
OECD加盟国を対象とし、2011年からフードチェーンにおける食品廃棄物に関する統計の収集と比較をおこなうため、作業に着手。食品廃棄物の規模・原因・課題や食品廃棄に関する政策事例について分析予定。

<EU(欧州連合)>
欧州議会(EP)
2025年までに食品廃棄物を半減させ、発生抑制するための具体的行動を定めるよう、ECやEU各国に要請する決議が2012年採択。2014年は「ヨーロッパ反食品廃棄物年」になる。廃棄を避けるための啓発をおこない、期限表示と包装の適正化や、フードバンク活動の優遇などを決議。

欧州委員会(EC)
資源効率化の目標と方向性を定める欧州資源効率化計画を2011年に提出。持続的な食品消費に関する提案を2013年に採択予定。食品廃棄物を半減させるための資源効率化促進策を2020年までに検討。

<ドイツ>
ドイツでは、年間31万トン、12億ユーロ相当(約1236億円)の食品が廃棄されていることが、ドイツ小売研究所の調査で明らかになった。これを受け、ドイツ連邦消費者保護・食糧・農業省のイルゼ・アイクナー大臣は、2012年、食品ロスの実態について連邦独自の調査を実施とのこと。( 2011年11月24日付 オルタナオンライン記事)
http://www.alterna.co.jp/7637

イルゼ・アイクナー大臣が、年間1100万トンの食料廃棄を「耐え難い数字」とし、食料廃棄実態報告書の記者発表の場で怒りを露(あらわ)にした。同相は、「いまや食べ物の消費に対する闘いは政治的課題」と明言し、報告書発表と同時に、一般消費社向けの啓発キャンペーン「捨てるには良すぎる」をスタートさせたとのこと。(オルタナオンライン 2012年5月11日付記事)
http://www.alterna.co.jp/8991

<イギリス>
英国の機械技術者協会(Institution of Mechanical Engineers)
2013年1月10日、世界で生産される食料のうち、最大で半分に相当する20億トンの量が廃棄されているという報告書を発表。世界で年間40億トン生産される食料のうち、3~5割が、消費されずに捨てられている。廃棄の原因は、発展途上国でのインフラや貯蔵施設の不足、先進国での「1個買えばもう1個無料」キャンペーンや消費者のこだわりにあるとのこと。世界の中でも最も廃棄量の多いのが英国。生産される野菜の約3割が、「形が悪いためスーパーが買い取らない」という理由で収穫されていない。欧州と米国の消費者が購入する食料のうち、半分が廃棄されている。この協会のエネルギー・環境部門を率いるティム・フォックス氏は「廃棄食料は、増加を続ける世界人口を支えたり、飢餓に苦しむ人々に与えたりできるはずの食料だ」と述べ、食料の生産・加工・配送といった過程で使われる土地や水、エネルギー資源が無駄になっていると指摘。(2013年1月11日 AFPBB NEWS)

"Global Food;  Waste Not, Want Not" (世界の食料 廃棄を減らし、欲しがるのをやめよう)
http://www.imeche.org/Libraries/Reports/Global_Food_Report.sflb.ashx


<米国>
米国人が残飯などとして廃棄する食べ物が、年間1650億ドル(日本円換算で約13兆1000億円相当)にのぼることが2012年8月21日、アメリカ環境保護団体「天然資源保護協会」発表資料で明らかになった。1970年代の1.5倍。米国人は、自宅での食事や外食での食べ残しに加え、流通段階での無駄も含めて、流通する食べ物の約40%を捨てている。4人家族で年間2275ドル(約18万円)。東南アジアの10倍。米国政府は、イギリスの "Love Food Haste Waste"を参考に、食品廃棄の削減に取り組むことを勧告している。(共同通信2012年8月22日付記事)

<中国>
中国式の食べ残しの宴会に反対し、「食べきり運動」がインターネット上で話題になっている。1980年代から議論されてきたのは、中国人が豪勢な宴会を催し、料理を無駄にしてしまうこと。彼らにとって、食べ残すことが礼儀であり、メンツを重んじることである。それが、ここにきて「残さずたべきるという節約、残さず食べ切るというボランティア。無駄に反対、食料を大切に!行動を起こそう、今すぐに!さあ、あなたも」とスローガンを掲げた北京市のボランティア団体の活動が、多くのインターネットユーザーから支持を集める。芸能界からも有名人が多数参加し、「光盤運動」(食べ切ろう運動)は、今や飲食業界をも巻き込む盛り上がりを見せている。
(2013年1月24日 チャイナネット記事より)
http://japanese.china.org.cn/life/txt/2013-01/24/content_27786187.htm

<韓国>
韓国では、1998年から、余っている食べ物を生活困窮者に配分する「フードバンク」についての議論がなされている。当初は、生ゴミ削減が目的であったが、途中から、欠食をなくすことも目的となり、韓国政府が社会福祉協議会に業務委託し、今では国内に300~400以上のフードバンク団体が立ち上がっており、食料が集まる中央物流センターも設置されている。

韓国では、日本でお祝い事のときに飾られる花輪に相当する「米(コメ)花輪」というのがある。お祝い事のときに送られる。これが使い終わったあと、コメをフードバンク団体に寄贈する、という動きがある。私(イデルミ)が広報をつとめるセカンドハーベスト・ジャパンあてにも、J-BRAQ様より、何度か、お米を寄贈して頂いた。
https://sites.google.com/site/japanblaq/home/sapoto-jie-guo-1/sapoto-jie-guo

<日本>
政府が、4省庁連携で食品ロス削減に取り組むよう、指示。

食品業界(小売・卸・メーカー)が集まり、2012年10月~2013年3月まで、ワーキングチームの会合が開かれている。

以上


いろいろな記事を検索していて驚いたのは、
「米中韓国と比較すれば "日本は飽食の国ではない"と専門家指摘」という、
2013年1月20日付のNEWSポストセブンの記事です。

欧米などの先進国と比較し、一日一人あたりの供給カロリー
(おそらく摂取しているエネルギー量を指している)を調べると、
「日本では3000kcalを超えたことがない」。
また食料廃棄量についても、米国や英国、中国、韓国と比較して日本は少ない、
だから「日本は飽食の国で世界一食べ物を捨てている国というのは、
はっきり言ってウソである」と主張しています。

ドイツの食料廃棄は1100万トン、食品ロスは31万トン。
かたや日本は食料廃棄1788万トン、食品ロス500~800万トン。
日本より、ドイツのほうがずっと少ないです。

世界を見渡して、食料廃棄の多い国もあれば、少ない国もあります。
多い国、要するに、食料廃棄の観点では駄目な国、劣る国と比較して
「日本はそれよりも少ないのだ」と主張して、それが何になるのでしょう。
なぐさめ?無駄にしていないよという言い訳?責任逃れ?
自分(日本)より劣るものを見つけて他を貶め、
自分(日本)が上に上がる、という構図でしょうか。
年間コメ生産量(839万トン)と同じぐらいの量の、まだ食べられる食品を捨てています。
世界一ではないかもしれませんが、世界で最も少ない廃棄量ではないでしょう。
「食料廃棄の多い国に比べれば日本は少ない」という主張を発信して
いったい何の意味があるのか、理解に苦しみます。

記事には
『日本を含めた各国の余剰食料を、そのまま途上国に送ることができるわけでもあるまい。』
とありますが、フードバンク団体のセカンドハーベスト・ジャパンでは、
途上国に送った実績もあります。
ただ輸送費コストがかかるので、基本的には日本国内で、余剰食料を配分しており、
2010年の食品取扱高は813トン、2011年には1689トン、
2012年には3152トンと増えてきています。

前述の記事には『自らのスタンスを明らかにするために、まずは多くの事実を知る。
課題解決のために、必要不可欠な第一歩目である。』とあります。
そうであれば、日本の余剰食料がどれほどあるか、
500万トンから800万トンの食品ロスの内容がどのようなものか、
その様な事実があることも鑑みて、情報の発信を行っていただくことも
必要なことではないかと思います。

参考資料

2013年1月20日付 NEWSポストセブン 
「米中韓国と比較すれば "日本は飽食の国ではない"と専門家指摘」
http://www.news-postseven.com/archives/20130120_166663.html


日本は数兆円分もの食糧を捨てている!小売業界の「3分の1ルール」
 オンエアナビ「一人広報の達人イデルミのコラム」(2012年4月13日)
http://www.oanavi.com/column/ide/201204/85993.php

賞味期限前に廃棄なんて...食品鮮度ルール緩和へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120929-00000552-yom-bus_all
読売新聞 2012年9月29日(土)14時41分配信

農林水産省 フードバンク
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/foodbank/index.html

農林水産省 食品ロス削減の取組(2012年10月)
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/pdf/sakugen_torikumi.pdf

セカンドハーベスト・ジャパン(日本で最初にフードバンク活動を始めた団体)
http://www.2hj.org/index.php/jpn_home

コラムニスト:井出 留美

office 3.11代表

井出留美オフィシャルブログ http://iderumi.com/
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