無駄と非効率のかたまりー なのに激戦区で14年連続売上ナンバーワン。なぜ?
2011年11月25日
11月22日付で、JB PRESSにアップして以来、
毎日のようにアクセスランキング1位になっており、
ツイッターやFacebook上でも話題になっている記事があります。
それが、サトーカメラ、略して「サトカメ」の、商売の極意に関する記事です。
サトーカメラは、栃木県内でチェーン展開しているカメラ販売店。
とちぎテレビや、ラジオ「RADIO BERRY FM」でも毎週紹介されています。
サトーカメラのスーパーカメラセンター宇都宮本店は、
JR宇都宮駅から車で5分の場所にあります。
宇都宮は、家電量販店の激戦区だそうで、コジマ、ヤマダ電機、
ケーズデンキ、ヨドバシカメラなど、大型店がしのぎを削っています。
そんな強豪たちを相手に、サトーカメラのカメラ販売シェアは、
14年連続で、栃木県ナンバーワン。
デジタル一眼レフカメラの栃木県内シェアは60%以上だそう。
これだけ聞くと、さぞかし効率的な販売方法をなさっているのだろう、と思いますが、
予想に反して、サトーカメラは、無駄と非効率のかたまりのような店。
カメラに関して素人の、子ども連れのおばあちゃん、お母さんを相手に、
一時間半もかけて、店員さんが説明する。
お客さんが自分で写真をプリントするセルフプリント機の前にはソファが置いてあり、
自分でプリントできるにも関わらず、店員さんが一緒についてくれる。
カメラメーカーが準備したPOPを使えばラクなのに、それを使わず、
店員さんが手書きで描いた、イラストと文字のPOPを設置。
家電量販店でよくあるポイント還元制度は、一切無し。
このような販売方法でありながら、2005年に25%だった粗利は、
2011年現在、40%へと、6年間で15%も上昇しています。
サトーカメラの代表取締役専務、佐藤勝人氏は、
両親が営んでいた小さなカメラ店をお兄様と継ぎ、
今では栃木県内に18店舗、年商25億円を誇る店に成長させました。
効率を求めない店になったきっかけの一つは、
2000年に台頭したデジタルカメラ。
カメラ業界が激変し、先が見えなくなったとき、
商売の原点に立ち返ろうと、佐藤氏が考えたのは、
「人はなぜカメラを買うのか」。
「実はカメラ(=単なるモノ)を買っているんじゃない」
「思い出をきれいに残すため(カメラを買っているんだ)」
という思いに至ります。
そう考えると、ひたすらお客様の立場に立つことになります。
となると、効率は追い求めなくてよい、ということになり、
それと同時に、利益率が上がっていきます。
効率を求めているときは、「売ったら終わり、はいさよなら、はい次」
という売り方だったのが、接客方法が変わり、
徹底的にお客さまの立場に立ったコミュニケーションを始めてから、
サトーカメラの売上は、販売方法は非効率になったにも関わらず、上がっていったのです。
佐藤氏の言葉の中で、印象的だったのは、
初孫が生まれたのをきっかけに、サトーカメラでカメラを購入し、
それから写真が趣味になったおばあちゃんの言葉です。
「あんたのとこでカメラを買ったおかげだよ」
「それまでの60年の人生より、あんたと出会ってからの毎日の方が、
人生の中でいちばん楽しかった」
そこまで思って頂けるお客様の存在-
もはや、単なる"モノ"の売り買いを超えており、
お客様の人生にまで影響を及ぼす力になっています。
販売する側にとって、こんな嬉しい言葉はないでしょうね。
JB PRESS 日本の中小企業 喧嘩上等のカメラ店が「ど素人」に教わった商売の極意
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/29764
コラムニスト:井出 留美
office 3.11代表
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