箸道 ~食と生活とおいしい生き方~

2011年を振り返ると、ある言葉がでてきます。それは・・・


おはようございます。
「箸道」と「サイコロジック」の牟田実(むたみのる)です(^。^)


あと少しで、2011年も終わります。今年は激動の年でした。
何と言っても3月11日に発生した「東日本大震災」と「福島第一原発事故」。
多くの人が、この3.11を通して、社会や人とのつながり、
自分の生き方を見つめ直したのではないかと思います。
もちろん、私もその一人です。

そんなことを思い返しながらこれを書いていたら、
今度は「北朝鮮の金正日総書記が死去」というニュース。
まさに、激動の2011年でした。

私自身で2011年を振り返った時、「ある言葉」が出てきました。
そして、その言葉についてあらためて考えさせられた一年だったなあと感じました。

さて、その言葉とは・・・


あー、おいしかった


「あなたの好きな言葉は何ですか?」と、ときどき聞かれることがあります。
歴史上の人物の名言などを言えるとかっこいいのですが。

そんな時、いつもつぎのように答えています。

「私の好きな言葉は、『あー、おいしかった』です」


「あー、おいしかった」
普段の生活の中で、皆さんは使うことありますか?

私の場合は、自分が言うだけでなく、
他の人が「あー、おいしかった」と言っているのを聞くだけでも
幸せな気持ちになります。


この「あー、おいしかった」には、多くのものがその言葉の中に凝縮され
詰まっていると思うんです。

一般的に「おいしい」という時は、
食事や食べ物に満足した時。期待以上であった時などです。
当たり前ですね。

しかし、「あー、おいしかった」は「おいしい」とは若干ニュアンスが違う気がするんです。

「あー、おいしかった」と言うには、「ある前提」があります。
この「ある前提」とは、自分が「安全」と感じている状態にあること。
ここでの「安全」とは、ココロもカラダも適度にリラックスしている状態ということです。
 
たとえ、三つ星の有名なお店の料理をいただいたとしても、
大切なものを失ったり、悩み事や心配事があったり、
体調が悪ければおいしいと感じません。
また、一緒に食事をした人によっても「おいしさ」は変わってきます。
気の合わない人とイヤイヤ食事をしたら、どんなに空腹でおいしいものをいただいても
「あー、おいしかった」という言葉が出るには至らないと思います。


3月11日東日本大震災が発生しました。
それにつづく、大津波と原発事故。世界中に衝撃を与えました。
私たちもこの天災と事故を通して、自分と他人、自分と社会のつながりや、
自分の役割について深く考えさせられました。
そのことは今年の漢字一文字「絆」に表れていると思います。

震災が発生して数日後、私はある避難所からのテレビ中継をみていました。
その中で、一人の年配の女性が、ボランティアが用意した味噌汁を飲んで
漏らした言葉「あー、おいしかった。生き返りました」

それまでは、非常食のパンやビスケットなど乾きものばかりで、
暖かいものがいただけなかったそうです。
今、暖かい味噌汁をいただいたことで、カラダだけでなくココロも暖かくなったようでした。

ここでの「あー、おいしかった」の中には、たくさんの想いが入っていると感じました。
自分が生きている幸せ、ボランティアの人たちへの感謝の気持などなど。


普段の生活の中でも「あー、おいしかった」という言葉の中には、
作ってくれた人への感謝、一緒にいただいた人への感謝、自然の恵みへの感謝など
さまざまな「ありがとう」がつまっています。

食事をして、「あー、おいしかった」と口に出して言ってみる。
すると、なんて自分は今幸せなんだと感じると思います。
その料理がたとえ三つ星のディナーでなく、塩おにぎりであったとしてもです。
また、一緒に食事をした人から「あー、おいしかった」と言われても
やはり幸せな気持ちになるのではないでしょうか。


もうすぐ2012年を迎えます。世界では、まだ戦争、紛争、
飢餓等の問題があちこちで起きています。
「あー、おいしかった」と言える平和な日々を、世界中に望みたいと思います。

私自身も、自らの手で、少しでも「あー、おいしかった」と
言えるようにしていきたいと考えています。


オンエアナビの読者のみなさん、そしてスタッフの皆さん、ありがとうございました。

メリークリスマス、そして、2012年がますます「あー、おいしかった」と言える年になりますよう
感謝とともにお祈りしています。 

最後までお読みいただきありがとうございます。
また、お会いしましょう。
コラムニスト:牟田 実

食と生活ラボ代表

食と生活ラボ代表 http://www.shoku-labo.com/
NPO法人日本箸道協会 副理事長兼事務局長 http://www.hashido.net/
Facebook: http://www.facebook.com/minoru.muta
m-muta@hashido.net

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