箸道 ~食と生活とおいしい生き方~

神様とお箸(はし)


おはようございます。
「箸道」と「サイコロジック」の牟田実(むたみのる)です(^。^)


「好きな音楽で酒飲んでます」のコラムニストhotexpress編集長の平賀さんに
私のコラムを「熱い」とご評価いただき、とてもうれしいです。ヨロシク!
「ヨロシク!」は矢沢永ちゃんでしたね。
 
そうそう、最近、本業以外のことで
テレビでよく見かける内田裕也翁(なんとなく翁のイメージしませんか?)。
以後「翁」と呼ばせて下さい。
その翁は、自分の話の最後に、「ロックンロール」と言いますよね。
あれって、永ちゃんの「ヨロシク!」的な意味合いなんですかね。

私は考えました。この「ロックンロール!」は、間投詞でも感嘆詞でもなく
キリスト教でいう「アーメン」と同じく、ロックの世界では
神聖な意味を持っているのではないかと。

交際を迫って相手を脅し逮捕された件で、翁の謝罪会見が6月にありました。
その時の謝罪のセリフ:
「ロックンロールに免じて勘弁してほしい。 ロックンロール!」
これを聞いた当初、全く意味不明でした。
「は? ロックンロールに免じて?」ってどういうこと?

しかしです、この「ロックンロール」を「アーメン」と同じく
神聖な意味である「神様」に置き換えると、理解できるんですね。

「神様に免じて勘弁してほしい。神様!」

オ―ッ "なんと神々(こうごう)しい"のでしょう。


話がいつものように脱線してしまいました。平賀さんの熱いお言葉に
8月の暑い日に熱くなってしまいました。
ロックンロール!、ヨロシク! ついでに いいね!


さて、今日はその"神々(こうごう)しい"神様とお箸の関係についてお話しします。

●サスペンス劇場「箸流れ伝説」

スサノオは、神様の世界では、箸にも棒にもひっかからない(注1)
わがままで暴れん坊な青年でした。
彼は、再三注意を受けたにもかかわらず、その態度をあらためません。
相変わらず乱暴狼藉(らんぼうろうぜき)を働くので
スサノオが姉と呼んで慕っていたアマテラスは、天の岩戸に隠れてしまいました。
結局スサノオは、追放処分となり、高天原(たかまがはら)から
地上に降ろされてしまいました。

地上(注2)に降り立ったスサノオは、川のほとりを歩きながら
上流から「箸」が流れてくるのを見つけたのでした。
「箸が流れてくるということは、上流に誰かいるに違いない」
そう考えた彼は上流へと向かいました。

すると親子と思われる、中年の男性と若い女性が泣いているではありませんか。
若い女性をみると、なかなかの美人。
スサノオは気になり、「どうしたんだ?」と声をかけたのでした。

すると、父親らしき中年の男性が
「実は私には娘が8人おりました。
しかしこの時期になるとヤマタノオロチという恐ろしい怪獣が山から下ってきて
娘たちを食べてしまうのです。
もう7人の娘が食べられてしまいました。
この娘も食べられてしまうのではないかと思うと心配で心配で・・・」

スサノウはこの娘に聞きました。
「名前はなんという?」
娘は答えました。「クシナダと申します」。

彼女はスサノオの好みのタイプにピッタリだったので
親子に交換条件を出すことにしました。
「俺がその怪獣を退治したら、クシナダヒメを嫁にもらえるのであれば
怪獣退治を引き受けてもいいぞ」
父親も娘の命には代えられません。そこで、その条件を受け入れることにしました。

ヤマタノオロチは頭が八つある「キングギドラ」のような怪獣です。
まずは、娘を怪獣から隠すため、スサノオは、彼女を櫛に変え自分の頭にさしました。
スサノオのロングヘアーにはとても似合ってます。

次に、酒樽を8つ用意させました。酒を怪獣に飲ませます。
そして、ヤマタノオロチが酔っ払ったところを見計らって
一気に退治するという作戦をたてました。

これが、バッチリ大成功。ウルトラの星スサノウは
見事にヤマタノオロチを退治したのでした。シュワッチ!

戦いの途中、三分近く経過してしまい
スサノオの胸のアラームが鳴り始めましたが
さすがにスサノオ。強かった。

娘を櫛から元の姿に戻し、スサノオとクシナダヒメは結ばれたのでした。

めでたし。めでたし。

話はここでおしまい。

もし、箸が上流から流れてこなかったら
スサノオはクシナダヒメと出会っていませんでした。
箸が二人の出会いを作ったということで「箸流れ伝説」と言われています。


原作:日本書紀、古事記

(注1):箸にも棒にも引っかからない というのは
箸のように何でもつかむことができる万能の道具でも
大きな棒でも引っかからないということで、救いようがないという意味
(注2):現在の出雲地方(島根県)のあたりと言われている


●謎が謎を呼ぶ

<第一の謎>
今私たちが使っている箸や割り箸の形状は、二本の短い棒です。
それが川から流れてきたとしても、木の枝と間違えて
スサノオは箸だとは認識しなかったのではないか?

上流から流れてきた箸が、ピンセット型(U字型)の箸であれば
そういう形の小枝はないので、「箸」とわかったのではないか。

<第二の謎>
木でU字型になる材質はあるのか?
 
竹はどうか。竹なら大丈夫かも。
もし、竹であれば「箸」という字は「たけかんむり」であるのもつじつまが合う。

<第三の謎>
その箸は、何に使われたのか? 
魏志倭人伝(注1)によると、倭の国の民は手食であったと記載がある。
ということは、箸は食事をするための道具ではないことになる。

どうも神様への供え物をする儀式のための道具ということも考えられる
 
さらに、モノをつかむのは、U字の先(端)を使うので
端→はし→箸 という説も考えられる。
軽いオヤジギャク的ノリだが、謎の解明においては、軽くないかもしれない。

(注1):魏志倭人伝(ぎしわじんでん)とは
中国の「三国志」の中の「魏書」の一部。倭人とは日本人のことをさす

<第四の謎>
もし、儀式用であるとすれば、いま我々が食事に使っている箸は
いつごろから使われるようになったのか?


<第五の謎>
箸は日本以外、中国でも韓国でも使われている。いったいそのルーツはどこなのか?
また、中国人や韓国人の箸の持ち方と日本人の箸の持ち方は一緒なのか? 
箸の長さはどのようにして決まるのか?

などなど、考えれば考えるほど謎が謎を呼びます。

しかし、「知らない方があなたのためかもしれない」

そう言われるとますます知りたくなりません?

こういうのをサイコロジック的には、「カリギュラ効果」といいます。

禁止されたり制限されると、逆にそうしたくなっちゃうことを言います。
浦島太郎が「玉手箱を開けるな」といわれると
開けたくなって開けてしまい爺さんになってしまう。
鶴の恩返しで、「決して、はた織りをしている私の姿を見てはいけません」と
奥さんに言われると見てみたくなり、そっと覗いてしまう。
その結果、鶴の奥さんに逃げられてしまう。

この「カリギュラ」とは映画の題名。その映画の内容が過激なので
見たらダメといわれた結果、かえって話題になってみんなが観に行った
というところからきています。

「絶対他の人には言わないでね」と言われると、言いたくなっちゃうんですよね。

というわけで、次回、気が向いたら謎解きをします。
気が向かなかったらゴメンナサイ。ロックンロール!


最後までお読みいただきありがとうございます。
また、お会いしましょう。

参考文献:
「日本人はなぜ箸を使うか」一色八郎著 大月書店
「箸の文化史」一色八郎著 御茶ノ水書房
「箸の本」 本田總一郎著 日本実業出版社

*上記は、原作をもとにしたフィクションです。
コラムニスト:牟田 実

食と生活ラボ代表

食と生活ラボ代表 http://www.shoku-labo.com/
NPO法人日本箸道協会 副理事長兼事務局長 http://www.hashido.net/
Facebook: http://www.facebook.com/minoru.muta
m-muta@hashido.net

本ページはプロモーションが含まれています。