下駄屋四代目ちゃきちゃき日記

2011年、私はこう振り返る


今年の漢字に「絆」が選ばれたというニュースに、
「やっぱり」とうなづいた人も多かったのではないでしょうか。
東日本大震災や台風12号など大きな災害が相次いだ2011年。
家族や友人、地域とのつながりが大切だと感じたり、
なでしこジャパンの活躍で、チームワークが注目されたり。

「絆」を辞書でひくと、1.人と人との断つことのできないつながり。
離れがたい結びつき。 2.馬などの動物をつないでおく綱。 とあります。
離れがたい結びつき...たしかに、豪邸に住んで、
好きなものを好きなだけ買えるほどお金があったとしても、
好きな人、信頼できる人がまわりに1人もいなかったら、
幸せとはいえないでしょう。

今月5日、内閣府が「幸福度指標」の試案をまとめました。
132の項目には、住環境や仕事など経済社会状況、心身の健康のほかに、
家族や地域・自然とのつながりという指標があるとのこと。
幸福度は、先月、国王が来日したブータンが、
「国民総幸福量」を重視する国として知られています。

都道府県別の「幸福度」調査で全国ワースト2位だった高知県の土佐経済同友会は、
1人当たりの酒量や仲間と飲む回数が多いほど幸せだとする
県独自の「高知県民総幸福度」を作り、県政にも反映させるべきだとの提言をまとめた、
という記事を読みました。

私は妙に納得し、同感してしまいました。
わが町・浅草は、おそらく市町村別で幸福度を測ったら、
かなりランクは低いと思うのです。
住環境は良いとはいえず、大きな病院もなく、
交通に便利ともいえず、少子高齢化は言うに及ばず。
でも人と人のつながり、町の結束は、他の町に負けていないはず。
近所のおじさん方は、しょっちゅう会合や飲み会をされてますし(笑)。

これまで夫の仕事の都合で、北陸や九州など引っ越しを繰り返してきました。
東京で生まれ育った私には、どこの土地も自然が豊かで、
野菜や魚が新鮮でおいしく、住み良さでは東京よりずっと上だなぁと感じられました。
東京下町地区はとくに緑が少なくて、住宅が密集しているので、住環境は悪い。
そんな悪条件を補い、幸福度を高めているのは、
人と人のつながりではないかと思うのです。

「阪神淡路大震災の後、5年間に仮設住宅で孤独死した人の数が、
男性161人、女性72人。東日本大震災の被災地でも、
同じような現象が懸念されている。」とTBSのニュースにありました。
衣食住が足りても、孤独は辛い。

とはいえ、そこが人間関係の難しさ。
社交的で友達をつくるのが得意な人もいれば、苦手な人もいるわけで。
友人・仲間はもちろん、家族だって理解し合い、絆を深めるのは、
昔よりずっと大変になっているのではないか...。

一方で、twitterやfacebookなど新しい絆の深め方も、
今年は急速に広まったのではないでしょうか。
twitterで、会ったこともない人に同調したり、
facebookで20年ぶりの友人と連絡がとれたり。
世界は広がっているようで、近づいてもいます。

2011年の締めくくりは、「絆」について考えてみました。
コラムニスト:富田 里枝

浅草の老舗和装履物 辻屋本店

あさくさ辻屋本店「下駄屋.jp
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